手織り・染色・手紡ぎ等々、手仕事の記録です。フィンランドでのものづくりについても紹介しています。フィンランド発信。

【本】Kudontamalleja ohjeineen: oswiitta aloittajalle 〜19世紀末の手織りガイドブック〜

この本は、くうっけりが今まで目にした中では一番古い、フィンランド語で書かれた手織りのガイドブックです。出版は1898年。


もっと古い織りの本もあるようですが、そういう本はたいてい、図書館でしか読むことができません。それも、司書さんに頼んで倉庫から出してきてもらわないといけないはず。

ところがこの本、100年以上昔のものだというのに、なんと借り出し可能だったのですよ。

外観は、「本」というよりは「冊子」。ページ数も51ページと、決して多くはありません。

書名は「Kudontamalleja ohjeineen: oswiitta aloittajalle(ガイド付織のパターン:初心者へのガイド)」。著者は Alexandra Hynén。当時、この他にも織に関する本を何冊か出版されていた方のようです。

内容は、前半が織の基本…糸の準備から織りまで…の説明。そして後半にはこんなふうに


具体的な織パターンが60余り紹介されています。

書名にもあるように、これは初心者向けのガイドブック。”複雑な組織はとりあげていない”と前書きにもあります。それでも、簡単なドレルや二重織、さらには拾って模様を織り出す二重織(いわゆるフィン織)もあって、ちょっとびっくり。

パターンの多くには「エプロン地」「スカート地」「ショール」…などというように、用途で名前がついています。一方で、組織っぽい名前もいくつかあり、どうやら統一はされていない模様。

パターンの並び方はあんまり系統だてられていないし、織り方図はあるけど組織図はないし、織り方図自体がなじみの形とはちょっと違うので、読解するのが難しかったです。組織図を実際に自分で描いてみないとピンとこないことも多くて。

説明もくうっけりには読みにくかったんですよ。なじみのない単語がたびたび出てきたこともあります。でも、読みにくかったのは何よりも字体のせい。慣れない字体って、ほんと読みにくいものですね。草書体になじみのない人が草書体で印刷された本を読む…ちょうどそんな感じかも。

1920年代の本だと、テキストにも組織図にもほとんど違和感を感じません。今回取り上げた本が書かれたあと、20~30年のうちに、活字の字体とか、織り方図や組織図の描き方が、大きく変わったようですね。

読みにくかった本だけど、時代が感じられて面白かったです。例えば、麻の経糸の糊付けの材料。
  • 動物の脂肪、もしくはバター
  • ワックス
  • ロシア石鹸
  • 小麦粉、もしくはライ麦粉
分量はすべて古い単位で書かれているので省きましたが、材料自体がなんかすごくないですか?

ところで、1898年って「フィンランド」という独立国がまだなかった時代なんですよ。そう考えると、なおさら歴史を感じますわ。

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@tapionokuni