とうことで、今回も朱子織の話…どうやって飛び数を見つけるかってことを考えてみたいと思います。
朱子織とか飛び数とはそもそも何ぞや?ということについては、インターネット上にもいろいろ説明があるので、ここでは置いておきます。
でも、ちょっとだけ確認。こちら、五枚朱子織の一例です。
そして5マス×5マスのこの図の、まず横列を一列ずつ見ていくと、それぞれの列に必ず黒マスが1つ。さらに、縦列を一列ずつ見ていくと、やっぱりそれぞれの列に黒マスが1つずつあります。黒マスが各列にちゃんと分散しているわけです。
さて、どんな数が飛び数として使えるか、使えないかっていうのは、実際に描いて試してみればわかるはず。
そこで、八枚朱子織ではどうなのかというのを試してみます。八枚朱子織の完全組織は8マス×8マスになるはずなので、飛び数候補は1~7ですかね。
ということで、試しに描いてみたのがこちら。ここでは、左下を起点として、飛び数を上方向に数えています。
飛び数が1や7の時は、朱子織ではなくて綾織りになってしまいます。だから、1と7は、朱子織の飛び数とはいえません。
飛び数2、4、6は、黒マスが各列に分散していません。複数の黒マスがある横列がある一方で、黒マスの全くない列もあります。2、4、6を飛び数として八枚朱子織を描くことはできないということですね。
ちゃんと朱子織になっているのは、飛び数が3のときと5のときだけ。
ここでは、左下を起点として上に飛び数を数えましたが、横方向に数えても、起点を変えても、結果は同じになるはずです。
参考までに、スウェーデンで出版された本からの抜粋です。ここでは、右下を起点として左横方向に飛び数を数えてるようです。飛び数8というのも試していますね。
M. Erriksson, G. Gustavsson & K. Lovallius 共著 『Varp och inslag』(2008年)p.58より |
この図でもやはり、飛び数が3と5のとき以外は、ちゃんとした朱子織にはなっていません。
結局、数える方向に関わらず、八枚朱子織の飛び数は3と5ということですよね。
で、ここで終わってもいいのですが、どんな数が飛び数になり得てどんな数がなり得ないのか、というのを、一般化したらどうなるか?というところまで考えると…
飛び数1と綜絖数から1を引いた数だと、朱子織ではなく綾織りになってしまうから、飛び数としては適さない。
そして、残りの数についてはどう一般化すべきか…というところで、多くの説明で出てくるのが、飛び数は綜絖数と公約数を持たない数だってことでしょうか。
でも、説明のバリエーションはいろいろです。多くの説明に共通しているのが、飛び数を求めるときに、まず綜絖数を2つの数に分ける、ということ。
つまり、八枚朱子織の場合でいえば、足して8になる数のペアを作る。
① 1と7
② 2と6
③ 3と5
④ 4と4
で、そのあとの説明には、いくつかのバリエーションがありますが、おおよそは
- 1を含むペアは飛び数には不可。(→①が該当)
- 一方が一方の倍数になっているペアは飛び数には不可。(→②が該当)
(この理由で①も不可なのだと説明している説明も有り)
- 同じ数のペアは不可。(→④が該当)
- 公約数をもつペア(もしくは綜絖数と公約数を持つペア)は不可(→②と④ともに該当)
というところでしょうか。
でも、なんでペアで考えるの?
そんなことを疑問に思いながら朱子織についてあれこれ読んでいる中で、2つの数の関係を理解したのは、ごくごく最近のこと。
で、それについてはまた次回に。
ぐだぐだとここまで記事を書いてから言うのもなんですが、飛び数の条件をあれこれ覚える・考えるよりも、五枚朱子織の飛び数は2と3で、八枚朱子織は3と5で…と覚えてしまったほうが、断然手っ取り早くて簡単な気がしますな。
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今まで朱子織の飛び数についてあれこれ考えたことはなく…
そもそも、五枚朱子織以外使う機会もなかったし、使おうと思ったこともありません。
もちろん今まで読んだことのある本にも、朱子織とか飛び数のことは書いてありましたけれど、あんまり注意も払いませんでした。組織織りの教科書の文章なんて、それほどじっくり読みたいと思わせるものでもありませんし。
でも、気になりだすと気になるもので、そうすると無味乾燥な文章もちゃんと読む気になるもの。そして、今まで知らなかったことに出会ったりすると、楽しくさえも感じるものです。
気になるきっかけを作ってくださった方々に感謝です。
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