手織り・染色・手紡ぎ等々、手仕事の記録です。フィンランドでのものづくりについても紹介しています。フィンランド発信。

オーバーショットの組織図・織り方図を描いてみる② ~タイアップと踏み順~

前の記事( オーバーショットの組織図・織り方図を描いてみる① ~プロファイルドラフトと綜絖通し順~)の続きです。

オーバーショットのタイアップ

オーバーショットを織ったことがあれば、タイアップもお馴染みかもしれません。そういう方には今更の感もあるでしょうが…

ここでは、プロファイルドラフトのタイアップをもとに、オーバーショットのタイアップを描いてみます。

まずこちらは、前回の記事にも登場したプロファイルドラフト。見方は普通のドラフト図(組織図・織り方図)と同じ。


赤い花のような柄は、タイアップ図の黒マスと対応しています。

ところで前回、オーバーショットの綜絖通し順を、プロファイルドラフトをもとに次のように描きました。

  • プロファイルドラフトで1番上のマスに印があれば、織り方図の綜絖通し順は1212
  • プロファイルドラフトで2番目のマスに印があれば、織り方図の綜絖通し順は3232
  • プロファイルドラフトで3番目のマスに印があれば、織り方図の綜絖通し順は3434
  • プロファイルドラフトで4番目のマスに印があれば、織り方図の綜絖通し順は1414

つまり、プロファイルドラフトで1番の綜絖だけで織り出されていた柄は、オーバーショットでは1番と2番がペアで動いた時に織り出される。2番の綜絖だけで織り出されていた柄は2番と3番がペアで動くときに織り出される…

そのことを、プロファイルドラフトのタイアップ図に描きこんでいきます。

例えば、プロファイルドラフトの2番目の綜絖にあたるのが、オーバーショットでは2番と3番(ブルーで囲んだ部分)。この2枚の綜絖が一緒に動くようにタイアップすると、プロファイルドラフトの2番目の綜絖が織り出す柄に相当する柄が織り出されます。

その他の綜絖についても同じこと。つまり、オーバーショットでは、カラーの四角で囲まれているのが柄を織り出す部分。それぞれ2マス(2枚の綜絖)でセットになっています。



次に考えなければいけないのは、柄が織り出されるとき綜絖は上がっているべきか下がっているべきかということ。

オーバーショットの柄は緯糸で織り出されます。つまり、柄になるところでは緯糸が表面に出る。言い換えると、経糸は緯糸の下になっている。さらに言い換えると、そのとき綜絖は下がっている…

ということで、柄を織り出す部分(四角で囲んだ部分)は、綜絖が下がるようにタイアップしなければなりません。そしてそれ以外は綜絖が上がるようにタイアップします。

つまりタイアップ図はこうなります。上の図で四角で囲んだ部分は白マス(綜絖が下がるようにタイアップ)で、それ以外は黒マス(綜絖が上がるようにタイアップ)です。


ただ、このタイアップはあくまで柄を織り出すためのタイアップ。
オーバーショットでは、その他に、地の平織を織るためのタイアップも必要です。ですから、最終的にタイアップはこうなります。


平織りと4枚綾織りのタイアップがくっついてる感じですね。

ところで、左側が平織のタイアップで右が綾織、というタイアップ図もよく目にしますよね。その辺は完全に好みの問題です。自分が織りやすいペダルの踏み順になるようにタイアップすればいいのです。

ペダルの踏み順

プロファイルドラフトの踏み順が、ほぼそのままオーバーショットの踏み順になります。ただし、プロファイルドラフトのひとマスが経糸4本に相当するように綜絖通しをしてありますので、プロファイルドラフトの踏み順そのままだと、模様がつぶれます。ほら、こんなふうに。


そこで、プロファイルドラフトのひとマス=緯糸4本として、オーバーショットの踏み順を描いてみます。


なかなか良さげ? 

さらに、地になる部分の平織(英語の本にはよく tabby って書かれているやつ)のための踏み順を加えてみます。オーバーショットでは、柄を織り出す緯糸(一般に、地を織り出す糸より太いものを使う)と、地を織り出す緯糸(一般に、経糸と同じ糸か経糸よりちょっぴり細い糸を使う)を交互に織り込みむので、実際の踏み順はこうなります。


本などでは、平織りの部分をいちいち書き入れてないことが多いみたいですね。そのほうが見やすいですし。それに、平織りを描きこんでしまうと、組織図の高さのほうだけが2倍になってしまうので、実際の柄の見え方とは同じにならないんですよね。

ただ、描きこまれていなくても、オーバーショットには柄を織り出す緯糸の他に、必ず平織の緯糸が入ります。お忘れなく。


さてここで、上の組織図をもう一度よく見てください。注目していただきたいのは、柄を織り出す緯糸の浮き(織りこまれることなく経糸の上を渡っている糸)の長さです。

例えば下の図の青色で囲んだ部分。デザイン的には、これら2か所の浮きの長さは同じであってほしい。でも、同じじゃない。


よくよく見ると、浮きの長さが左右で違うところが、他にも何か所かあります。

やっぱりこういうのは修正したほうがいいんだろうなあ…ってことで、次回に続きます。

6 件のコメント:

karamatsu さんのコメント...

組織図を見て模様の出方を想像する時に、黒マスは、綜絖が下がるようにタイアップ。

で正しい?

これはろくろだから天秤だからジャックだからという仕様の違いを気にしないで、綜絖が下がるようにタイアップという意味でいいの?
いや、ジャックは上がるだけだから白マスを上げるという事で。

黒マスの綜絖が下がると、織ってるとき、目に入る織面は裏?

読んでわかった気がするんだけど分かったかどうかが分からない(^^;

Kuukkeli (くうっけり) さんのコメント...

う~ん、説明がくどすぎてやっぱり分かりにくいんですね。申し訳ないです…(-_-;)

プロファイルドラフトでは経糸で模様が出ているのに、オーバーショットのタイアップでは、緯糸で模様を出しているからよけいに分かりにくいのかな。
プロファイルドラフトとオーバーショットの組織図で、自分が見やすいように経糸と緯糸の色を入れ替えちゃったのもよくなかったですね。反省…

タイアップは、<黒マス>は綜絖が<上がる>ように、<白マス>は綜絖が<下がる>ようにです。だから、ジャック式だと黒マスを結び付ける。ろくろ式だと白マスを結びつける。…となります。

プロファイルドラフトでは経糸で柄を出しているから、柄となる部分をタイアップでは黒マスにしています。でも、オーバーショットでの柄は緯糸で出すので、柄となる部分を白マス(綜絖が下がるようにタイアップ)するんです。

あと、このタイアップで織った時に目に入る織面は表。

よけいにに混乱させちゃったらごめんなさい m(_ _)mスマン


てこ さんのコメント...

なるほどですね。
シンプルに考えていいんですね。
今まで、オーバーショットの本の組織図の説明に出てくる綜絖数字を囲む〇に翻弄されてたような気がします。
今までのモヤモヤが少し消えてきました。
とってもワクワクしています。
次回を楽しみにしています。

karamatsu さんのコメント...

ありがとうございます、模様糸を出すのが経糸か緯糸かのところで混乱してたようで、理解できた気がします(^▽^)/

よけいに混乱も何も、組織をこういう風に考えたことすらなかったのだから、頭の中に新しいページがどんどん増えてって、わからないながらも楽しいです(*^▽^*)

てこさんほど詳しくないけど、てこさんが知りたいと思ってる気持ちがよく解ります。
たけももさんの、やった!新しい事の講習だ!と喜ぶ気持ちの方が自分には近くて、かなりワクワクです♪

Kuukkeli (くうっけり) さんのコメント...

ありがとうございます。
そういっていただくと、こんな記事を書いた甲斐があるってもんです^^

このややこしい話、もう少し続きます。
どうぞこのあともお付き合いくださいませ。

Kuukkeli (くうっけり) さんのコメント...

ここでは、知ったかぶりで偉そうに書いてるけど、なにしろ、オーバーショット織ったことないし、プロファイルドラフトから自分で組織を描きだすのも初めてのこと。(・・;)

私自身、オーバーショットはややこしい気がしていたのだけれど、実際にこうして図を描いていく中で、決してややこしいものではないことが分かりました。私が説明しようとするとややこしくなってしまうんですけど。(-_-;)

もう少しくどい話が続きます。どうぞ覚悟のほどを^^

@tapionokuni