手織り・染色・手紡ぎ等々、手仕事の記録です。フィンランドでのものづくりについても紹介しています。フィンランド発信。

凧糸綜絖とナイロン綜絖の違いは大きかった!

以前、凧糸を結んで綜絖子を作り、機にセットして使っていたわけですが…
これがやたら切れるんですよ。そもそも、それより前に使っていた綜絖子がよく切れるから新しい糸で作った綜絖子に全交換したのです。前の綜絖子はもうだいぶ古く、切れるのはそのせいだと信じ切っていたものだから。でも、古すぎるのが原因ではなかったみたいです。

新たな綜絖子に使った糸は、古いものよりも一号数細い凧糸。切れやすいのはそのせいもあったのかもしれません。また、このところずっと使っている経糸が、なめらかさからは程遠い糸だというのも原因の一つかも。

いずれにしても、経糸を通す穴のあたりが結び目のところでよく切れるのです。特に筬に一番近い綜絖の被害が大! 経糸を送るときに筬に触れやすいからなのでしょう。


そんなこんなで結局、凧糸綜絖を全部ナイロン綜絖に取り替えました。そして、凧糸綜絖よりナイロン綜絖のほうがずっと使いやすいということに改めて気づかされました。使いやすさの理由はいろいろあるだろうけれど、今回実感したことを3つ挙げておきます。

その1:切れにくい
凧糸綜絖と全交換した最大の理由がこれだったので、当然といえば当然。永遠に切れないってことはないだろうけれど、凧糸綜絖よりずっとずっと強度があります。

その2:伸びない
凧糸綜絖の時とナイロン綜絖の時では、ペダルの踏み心地が全然違っていました。凧糸綜絖を使っていた時には気付かなかったのだけれど、あの踏み心地、どうやら綜絖が引っ張られて伸びるからだったらしい。踏み込んだ時にピタッと止まるのではなくて、それよりさらに踏み込めるって感じ。ナイロン綜絖に変えたら、踏み込んだ時に一定の位置でピタッと止まる。ペダルの踏み心地がこんなにも違うものなのかとびっくりしました。

その3:経糸の送り出しがスムーズ
凧糸綜絖を使っていた時には、経糸を送り出して巻き取った後、ペダルを何度かカチャカチャ軽く踏んであげないと、綜絖が定位置におさまってくれませんでした。経糸を送り出すと綜絖も一緒に送りだされちゃう感じかな。経糸がループヤーンっぽい糸なので、その影響もあったのだと思うけど。でも、ナイロン綜絖に変えたら「ペダルをカチャカチャ軽く踏む」という工程がなくても問題なし。


ナイロン綜絖が広く使われているのは、自作が手間、あるいは自作の方法が知られていないからだと思っていました。もちろん強度の違いぐらいは分かっていたけれど、使い心地がここまで違うということを実感して納得しました。結局、ナイロン綜絖は自作のものより使いやすい。だからきっと、綜絖を自作する人は減り、ナイロン綜絖が普及したのでしょう。

ナイロン綜絖よりも凧糸綜絖のほうが経糸が擦れない気がする、だから凧糸綜絖のほうがいい。そんな話を聞いたこともあるのですが、実際にはどうなんでしょう? 今回、私自身はその点の違いは感じませんでした。作業の円滑さを考えれば凧糸綜絖よりナイロン綜絖のほうがいいというのが実感。だから、今の私はナイロン綜絖派です😁


ところで、フィンランドで一般に使われている機の綜絖は原始的というかなんというか…綜絖枠っていうのがなくて、綜絖子の上と下に棒が通してあるだけ。だから、ナイロン綜絖とか凧糸綜絖みたいのが使われているわけです。でも、よその機だと、ちゃんと綜絖枠になってて金属の綜絖が使われている場合もありますよね。綜絖としてはそれがより進化した形で、性能もいいのではないかと思います。使ったことないから想像だけれど。

4 件のコメント:

karamatsu さんのコメント...




そーそーそーそー!!
工業製品の優秀さ、強烈ですよね。

一点も引っかかりもなく滑らかなナイロン糸の、隙のない正確なサイズ、 熱以外の力ではそう滅多に狂わない綜絖子の構造(編み方?)。

自作とも、金綜絖とも、使い勝手が全然違う優秀さは、私も身をもって実感しました。
なるほどこの実感の対価か、、、と価格も納得せざるを得ませんでしたけど😅

今となれば糸綜絖は、どんな織り機にでも、穴埋めに一時的に差し込める勝手の良さが身上ではないでしょうか。


私も不思議に思ったこと(時期)があります、綜絖枠の有無。
ネットでですが調べたら、バーに糸綜絖も、枠に金綜絖も、それぞれに合理的、実用的、現実的な理由があり、納得した覚えがあります。

北欧の手織りでは大型の織り機が多く、バーに糸綜絖で天秤型が多いのも、あつかう糸や織るもの、手近なもので織り手が作成できる手軽さなどから、が由来らしいとのことでした。

道具を買わなければ次に進めない生産工程ってのは、産業革命以降の事ですもんね。
そもそも大型の織り機、各自宅で自作だったりしますし。

ちなみにベビーウルフの金綜絖、糸綜絖やナイロン綜絖に比べると、足元に落ちる糸屑、ワタ埃がほぼ倍、、、。
これだけ糸が痩せるのか,,,と手にすくってじっと見ました。

これでウールやコットンをガシガシ織る、丈夫簡単を身上にしたアメリカンの実用一点張りの合理性に、泣き笑いしたのを思い出しました😅

Kuukkeli (くうっけり) さんのコメント...

工業製品、ほんとに優秀ですよね。確かにあの価格の値打ちありです。

バーに糸綜絖は、自作しやすいというのは利点だし、綜絖枠より軽いから天秤式の機にはもってこいなのでしょうね。でも、織っている途中でちょっとした不具合も出てしまう。特に問題はない程度のことですが。ちょっと不満はあるけれど、そんなもんだと割り切ってはいます。どんなタイプの機でも、長所と短所があるのだろうし。


とある本に「金属の綜絖だと擦れやすいというのは気のせい」みたいなことが書いてありました。また、金属の綜絖優は秀だということも。でもそうですか、やっぱり金属の綜絖だと糸が擦れやすいんですね。ちなみにその本はアメリカで出版されたもの。うん、さすがにアメリカン😅

karamatsu さんのコメント...

金綜絖の名誉��のために一言だけ。

ベビーウルフの金綜絖が、金属板に目を開けた作りの「なかなかなヤツ」��なだけで、他の針金製の金綜絖は滑らかです。

東京手織り機のろくろを使った時に痛感しました。
ナイロン綜絖となんら遜色なかったです。

思うに、ベビーウルフは生粋のアメリカン。
綿花畑の南部で、北部や雪深い山間の羊毛の為に、海の向こうから来た人たちが作った織り機なんだろうな、とアメリカンとしか言えないような大雑把さや合理性を感じます。

東京手織り機の立派なろくろを使った時に、ベビーウルフってなかなか私向きだな、と思いました��

Kuukkeli (くうっけり) さんのコメント...

あ、そうか、そうですね。一言に金綜絖といってもいろいろですものね。
そもそも、十分滑らかでなければ、細い絹糸でなんて織れませんよね。

ヨーロッパにしてもアメリカにしても、家族用のものを自家製の機で織るっていうのが出発点だから、大雑把なところがあるのかも。私の機もかなり大雑把な作りです😁


(追記:前回コメントをいただいたあとサイトにお邪魔してコメントを書き入れてみました。届いているかな…)

@tapionokuni