Riitta Aittomäki, Hans Colliander & Heikki Kotiranta共著 『Luonnosta Väriä lankoihin』 Tammi, 2010年 |
最初に、ウールの糸の取り扱いや染色法などの説明があります。そしてそのあとは、ちょうど料理の本のように、染色レシピが並んでいるという構成。
以前、ミョウバンの量について記事を書きました(羊毛の媒染に使うミョウバンの量は?)。その記事の、2010年出版の本というのはこれです。この本では、媒染剤や助剤の使用量が、近年出版されている他の本より多いんです。
参考図書が古いからだろうと思っていたのですが、実はこの本、1992年に初版が出版された『Väriä luonnosta』という本の新装丁本でした。
装丁だけでなく、出版社も書名も変わっているから気づかなかったんですよ。本自体にもにもそんなことは書かれていなかったし。なんだか、ちょっとごまかされた気分です。
この本では、基本、同時媒染です。媒染剤の量の多いのは、そのせいもあるかもしれません。でも、媒染剤の量の多さはかなり気になりました。レシピによって媒染剤の量に幅もあり、根拠もよくわからない。本当にそんなに必要なのか、と思うこともたびたびでした。
まあ、染色された糸は写真のように確かに色相は広いので、媒染剤の量が多すぎる!なんて文句をいわずにレシピ通りに染めてみれば楽しいのかもしれませんけど。
『Luonnosta väriä lankoihin』より p.54~55 |
この本で残念に思ったことはもう一つ。装丁は大幅に変わっているのに、十分な改訂はされていないようなんですよね。気になったのは、Suomuorakas というキノコでの染色の部分。Suomuorakas は2種あることは1999年に分かっているのですが(関連記事 染色用キノコ ~2種のSarcodon)、この本の記述は従来のままでした。
参考になる部分ももちろんあったけれど、残念ながらくうっけり好みの本ではありませんでしたわ。
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