ナーンタリは、夏は観光でにぎわう街。ムーミンワールドもあるので、日本人にも知られているかも?
そんなナーンタリ市では、その昔(17~18世紀)、盛んに靴下が生産されていたのだとか。最盛期には、年間2万足ほどが出荷されていたそうですよ。もちろん手編みです。老若男女こぞって編んでいたという話。
ナーンタリ博物館に、靴下作りに関する品々が展示してありました。撮影してもいいということだったので、しっかり写真におさめてきましたよ。
博物館に展示してあったこの靴下は、その当時に編まれたものなのか、後になって復元されたものなのかは不明。素材は亜麻。かかとはボックス型ですね。
そしてこちらが、靴下の型と重しだそうな。
左側が靴下の型。編みあがった靴下を濡らしてこの型にはめたのだそう。そして右側の穴の開いているのを重しとしてのせる。そして太陽のもと乾かす。すると、きれいにプレスされた靴下が完成する。そんな手順だったようです。
下の写真にあるのは、編み物関係の道具です。
右上に2つある箸入れのようなケースは、棒針入れ。
さて、左上の輪っかと左下の小さな網の袋がなんだか分かりますか?
まず、網の袋は、糸を入れるためのもの。靴下を編むための糸が入っています。
そして、左上の輪っかは、腕輪?です。
腕輪を手首にはめて、金属のフック部に糸が入った網の袋をひっかける。その袋から糸を引き出しながら編めば、立ってでも歩きながらでも靴下が編めちゃう!…すごいですよね、そこまでしちゃうわけですから。まあ当時は、収入がかかっていましたからね、趣味としてのんびり編むのとはわけが違います。
ところでこの道具、今でも使えそうだと思いません?モバイル編みに便利じゃないかなあ…。
一説によれば、ナーンタリには棒針編みがフィンランドの他の地域より一足先に伝わったのだとか。一足先といっても、16世紀末頃の話です。フィンランドの棒針編みは、それだけ若いということですね。
さて、産業としての靴下作りは、19 紀後半にはすたれてしまい、ナーンタリの亜麻の靴下の伝統は、もうそのままの形では残っていません。
でも、今でもフィンランドでは、手編みの靴下はめずらしいものではないです。マーケット広場のような場所で売られているのもたびたび目にしますしね。
そういえば、ナーンタリの博物館にも地域の方々が編んだ靴下が販売されていましたよ。昔のような亜麻の靴下ではなくて、カラフルな色の毛糸の靴下ですけれどね。いろいろなデザインの靴下があって、見ているだけで楽しくなりました。
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2 件のコメント:
腕輪は見たことないですが、たしかイギリスの地方で、
荷物を運びながら編んでる古い写真を見たことがあります。
その時に糸玉入れというのを知った気がします。
編み針って毛糸を生産できるところでは、
古くからある道具なんでしょうね。
それにしても、麻糸で編み物ですか・・・。
どれだけ編みにくいもんやら(^^;
木製の靴下の型を見たら、
フェアアイルセーター用の木枠を思い出しました。
あれ、欲しいんですよねー、高そうだけど。
物を人の手で作っていたころには、どこの国でも寸暇を惜しんで物作りに励まざるを得なかったのかもしれませんね。
フィンランドでは、巨大な綴じ針のような道具を使って編むことのほうが、棒針よりも古いようなのです。ヨーロッパで棒針編みが始まったのはいつごろなのかな…?
ほんとにすごいですよね、麻糸での靴下編み。
その麻糸も、繊維を買って自分たちで紡いでいたそうですよ。
セーター用の木枠もあるのですか!
靴下の型よりもずっと大きいものなんでしょうね。
確かに高価そう…
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