手織り・染色・手紡ぎ等々、手仕事の記録です。フィンランドでのものづくりについても紹介しています。フィンランド発信。

オーバーショットとハニコムの関係

オーバーショットの綜絖通しそのままで、ハニコム(ハニカム・メガネ織り)が織れるということは知っていました。でも、今まで実際に試したこともなく、知識としては分かっていても感覚的にはよく分かっていなかった…

そんなわけで、ありあわせの糸を使って実際にオーバーショットとハニコムを、同じ経糸で綜絖通しも同じまま、織ってみたのでした。

上がオーバーショット、下がハニコム。とはいっても糸の選択がよろしくないので、ハニコムの特徴でもある生地表面の凹凸が全く出ておりませぬ。(^_^;)

それでも一応は、オーバーショットとハニコムの関係を理解した(気がする)ので、ここにメモしておきます。

プロファイルドラフト

あくまで試し織り。なるべく単純な4ブロックの模様で織ることにしました。で、描きだしたのはこんな模様。

これをもとにして、オーバーショットとハニコムの組織を描いていきました。

オーバーショット

以前このブログにも書いた方法( オーバーショットの組織図・織り方図を描いてみる① ~プロファイルドラフトと綜絖通し順~② ~タイアップと踏み順~③ ~緯糸の浮きの長さをそろえる~④ ~織る~)で描いた組織図。(踏み順のリピートは省いています)

あ、でもこれ、柄になる緯糸の浮きの長さはそろってないです。

実はそろえたつもりで経糸セット。そしてそれが完了したところで、そろってないことに気付いたというドジをふんだのでした😢

でも、あくまで組織を試してみたいだけだからまあいいか、とそのまま続行しちまった…

織りあがりがこれ。左側は水通し前、右側が水通し後。水に通すとギュッと目がつまるのがよく分かる。ちなみに素材はコットンです。

ついでに裏から見た写真。模様は違うけど、それ以外は大きな違いはありません。

ハニコム

ハニコムって、模様の部分が平織。で、その模様を織り出す緯糸は、模様以外のところでは裏に隠れています。

そしてもう一種の緯糸は、平織りで織り込まれる(下の組織図ではオレンジの糸)。この糸は一般に太めの糸。で、凹凸のある独特の表面を生み出します。

4ブロックのプロファイルドラフトから普通にハニコムの組織を描きだすと、8枚の綜絖が必要です。(この組織が実用的かどうかは不明。裏に浮いたままわたっている糸、かなり長いです。)


でも、オーバーショットの綜絖通しを利用したハニコムだと、4ブロックの模様が4枚綜絖で織れる!! ただしその場合、模様を織り出す緯糸が、一部模様以外の箇所でも経糸に織り込まれることになります。それから、オーバーショットの時と同じで、模様の最初と最後の経糸は、それぞれとなりの模様の経糸とと共有されています。…と、なんやら分かりにくくしか言葉では表せなくてすみません。

オーバーショットの綜絖通し順をそのまま使って描いた組織図です。言葉よりも、組織図を見比べたほうが分かりやすいですね、きっと。

綜絖通しはオーバーショットと同じ。オーバーショットでは緯糸を浮かすことで模様を織り出していますが、ハニコムでは、模様の部分が平織。だから、綜絖通し順は同じでも、踏み順とタイアップは変わります。

オーバーショットで模様を織り出す部分の経糸は、もともと2枚の綜絖に交互に通してある。だから、タイアップと踏み順を変えれば、その模様部分を平織にするのも可能ということなんですね。

で、これが実際に織った布。左が水通し前、右が水通し後。

オーバーショットの裏は、模様の出方を除けば表とほとんど変わりがありません。でも、こちらの組織の方は、裏は表と全然違う!

*****

オーバーショットの綜絖通しで、それと同じ模様のハニコムが織れる…なるほどです。だから理論上は、タイアップを変えさえすれば、同じ経糸でオーバーショットとハニコムを織ることができるはず。

ただ、この2つの組織を同じ経糸に続けて織るのが賢明かどうかは分かりません。この2つの組織、だいぶタイプが違うんですよね。ハニコムを織るのだったら、最初からそのつもりで経糸の素材や密度を考えたほうがよさそう。でもそれが、必ずしもオーバーショットに合うとは限らないし、逆もまた然り…。

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4 件のコメント:

karamatsu さんのコメント...

ハニコムって、裏、凄いことになってるんですね(@_@)

私は、、、オーバーショット だけでいいです、はい(⌒-⌒; )

でも、組織の成り立ちは、少し、視界が開けてきてる気がします。
いつもありがとうです😊

Kuukkeli (くうっけり) さんのコメント...

ハニコムって裏がこんなだから、あんまり織られないのかも。
クッションカバーとか裏地付のバックにはよさげだけれど、マフラーなどには向きそうにないですもんね。

でも、うまく素材を選ぶととっても面白い組織。
私が今回織った布には、ハニコムの面白味が全然出てないんですよ😢

私の場合、たくさんいろんなもの織ってるわけではないので、作品よりも組織の話ばかりになりがち(-_-;)
それでも少しでも参考になるのなら、そんなうれしいことはありません😊

Takemomo さんのコメント...

組織のお話はとっても嬉しいです(⌒▽⌒)♪
ついていけているかは…、聞かないでくださいね(^^ゞ

理論上できることと、現実的かどうかは全く違う話なんですね。

Kuukkeli (くうっけり) さんのコメント...

あんまり物作ってないんで、組織の話ぐらいしかできないともいえる…
でも、喜んでくださる方もいると思うと、とってもうれしいです。

オーバーショットとハニコムを同じ経糸で織るのはできないことじゃないし、そうやって、両方とも素敵な作品に仕上げている例もあるので、現実的ではない、ともいいきれないんですけどね。
でも、同じ経糸に…とは考えないほうが、デザインしやすいだろうなっていうのが実感です。

@tapionokuni