しばし更新が途切れておりましたが、今回も、前回(小説に描かれている手仕事 ~手織り~)、前々回(小説に描かれている手仕事 ~手紡ぎ~)の続きです。つまり、この本に描かれている手仕事の話。
今回は、編み物です。
女性たちは、牛の世話やら日々の家事やらで忙しい毎日を過ごしています。そんな中でも椅子に腰かける時間ができれば、編み物にいそしむ。当時は、女性が何もせずに座っているのはとんでもない、と思われていた時代です。
女性たちがよもやま話するときも、編み物をしながら。出かける時も、海が荒れていなければ、船の中で編み物。
そして、いつもよりゆっくりできるクリスマスは、絶好の編み物期間だったようです。クリスマスに間に合うように、編み物用の糸を紡ぐという話がでてきますから。
小説の中で編まれているのは、靴下とミトンのみ。これらは家族にとってももちろん必需品。でもそれだけでなく、ミトンをちょっとした手間賃がわりとして使っている場面もありました。
小説の中に、ヤギの毛のミトンを編み上げるシーンがあります。ヤギ毛のミトンだと、寒い日でも、さらにミトンが濡れたとしても、手が冷えないんだそう。ただし、においがすごいってありましたわ。
東部フィンランドでは、20世紀になってからも「針編み(ノールビンドニング)」のミトンが使われていたそうだけれど、小説の舞台は南西フィンランド。小説の中では、靴下もミトンも棒針編みです。
「編む」といえば、網を作るのもなぜか「編む」っていいますね。
小説の中では、魚網を編む場面はありません。でも、修理する場面があります。魚網の修理は、大事な冬仕事でした。
男たちの仕事でしたが、主人公は未亡人になってしまう。夫亡き後は、魚網の修理というのが、彼女の仕事になるのです。
それにしてもこの時代、手仕事が苦手な人はいろいろ苦労したことでしょうね。
散歩にて
6 時間前
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