更新の間隔が開いたこともあって、なが~い間おなじ話題でひっぱってしまいましたね。でも、今回でこの話は最終回ということにします。
染色
この小説の中には、染色の場面も描かれています。ところが、その場面について記憶に頼らずにここに書きとめておこうと思ったら、その個所がどうしても見つからない!読んでいるときに、ちゃんとページ数をメモしておくか、しおりでもはさんでおくべきだったと反省中。ちなみにこの小説、700ページ以上あるんですよ。
いずれにしても、染色をしているシーンが小説の中に1か所ありました。いわゆる草木染めですね。その場面では、白樺の樹皮を使っていました。染めているものがなんなのか、どんな色に染めあがるのかということについては、なにも描かれていませんでしたけど。
媒染剤としては、灰を使っています。冬中に出た灰を、染色と洗濯のためにとっておくという話でした。
漂白
実際に作業をしている場面はないけれど、女性たちの会話の中に出てきます。
早春の雪の上に布を広げる…
これって雪晒しのことですよね。
昔からの知恵って、世界共通なのかもしれませんね。
職人さん
家族の衣服を作るのも、女性の大事な仕事だったと思います。でも、主人公はどうやら、ソーイングにはあまり自信がなかったようです。
家族の普段着は自分で作っていたのでしょうが、よそ行きの服は、その道のベテラン?に来てもらって作っています。そのベテランさんに何日間か家に住んでもらって、一緒に作業しています。
靴作りも同じ。ただ、靴作りは専門の職人さん。家人がするのは、靴用の皮を準備しておくことと、靴を縫うための糸を提供すること。あとは、作業しやすいように場所を整えて、日中は職人さんの邪魔にならないようにすること。職人さんには、家族の靴が出来上がるまでその家に寝泊まりしてもらいます。
靴作りも同じ。ただ、靴作りは専門の職人さん。家人がするのは、靴用の皮を準備しておくことと、靴を縫うための糸を提供すること。あとは、作業しやすいように場所を整えて、日中は職人さんの邪魔にならないようにすること。職人さんには、家族の靴が出来上がるまでその家に寝泊まりしてもらいます。
結婚の準備
結婚前の慣習が興味深かったので、最後にその話。
結婚前に、女性は衣服等を用意しなければなりませんでした。当時は、材料をそろえるのも一苦労だったのでしょう。小説の中には、結婚を控えた主人公が叔父に連れられて、袋(家の中で一番上等の枕カバー)を持って近隣の家々を訪ね、衣服の材料をもらい歩くシーンがあります。そして、それぞれの家では、結婚をひかえた主人公に、当然のごとく何かしらプレゼントします。
贈られるものは、亜麻の布、亜麻糸、毛糸など。特に、布は最高の物だったようです。布ができるまでの手間を考えれば、それも当然かな。
これらのほかにも、小説の中では、結婚前の主人公が、新郎が結婚式で使うシャツの刺繍をしていたり、新郎や仲人さんにプレゼントするソックスバンドを作っていたり……ちょこちょこと何かしら手仕事をしている場面が出てきます。
そうそう、縫い物などの道具を入れる袋も、小説の舞台である群島地域ならでは。アザラシの皮で作った袋でしたよ。
最後に
今回読んだのは『Myrskyluoto』。この小説は、1970年代にドラマ化され、フィンランド国営放送Yleで放映されました。そのドラマの抜粋が、ほんの一部ではありますが、Yleのウェブページで公開されています。残念ながら、それらの中には、紡いでいる場面がちょっぴりある以外は、手仕事の場面はありません。
ドラマのオープニングシーンです。手仕事とは関係ないけれど、オーランド諸島の風景をご覧くださいませ。フィンランド人に今でも愛されているテーマミュージックの一部も聴くことができます。
4 件のコメント:
そうそう!、結婚前の孫に祖母から、祖母が紡いだ糸と白い麻の布がプレゼントされるというシーンを何かで読みました。
どういう本(文章?)だったのか思い出せないのが悔しいですが、なるほどそういう意味合いだったんですね。
花婿のためにシャツの袖口に刺繍というのも読みました。
これはシルクロードのかなり内陸部の少数民族の話だったと思います。
父から裁縫道具入れをプレゼントされるシーンも、祖父が孫娘のために紡ぎ車を作る話も読みました。
ああ、いろんなところで出会ってたんだなーとこの記事を読んで、底の方でちかちかと光るいくつものシーンが浮かんできました(*^^*)
ありがとうです。
楽しい3部作でした。
動画、見ました、音楽も聞きました(*^^*)
音楽好きです、フェアアイル島で作られるヴァイオリンの音色もこんなニュアンスですね。
フィンランドやノルウェーのある大きな半島とシェトランド諸島イギリス北部、アイルランド、そこを行きかう諸国の船は、北海の強い海流と風で、繋がっていたのでしょうね。
この音楽を聴いて、急にケルトのロープ編み?ケルティックケーブル?が編みたくなりました(*^^*)
アラン模様はケーブルが太いことが多くてあまり好きじゃないのですが、ケルトの模様は繊細で一度編みたいと思っていた模様でした。
あと、裏目と表目だけで模様を編み出すガーンジー編みも好きです。
話がどんどん飛びますね(^^;
私もいつか、自分が読んだ本の中の手仕事の事を、それを読んだ時の不思議感と、訳が分かって不思議が解けていったときの感想を書いてみたいと思います(*^^*)
遠く離れた国でも、慣習の中に何かしら共通点があるのが面白いですよね。
衣食住いう言葉は今でも使われるけれど、現代の感覚だと「衣」が真っ先って考えにくい。でも、安い衣類も手に入る現代とは違って、一昔前は「衣」がとても大事なものだったんでしょうね。
人の生活の基本からこそ、共通点も多いのかな。
異文化の話をいろいろ読んでみるのも面白いかも。
動画がちゃんと再生されてよかったです。
実は、ちょっと心配していたんですよ。「国内のみ」って規制がかかっているんじゃないかって。
私、このテーマミュージックが大好きなんです。そもそも、この小説を読もうと思ったきっかけが、その音楽でしたし。
海に囲まれた北国の自然は厳しいけれど、フィンランドの群島は、外海ではなく内海である分、少しはましなのかもしれません。有名な編み物がないのはそのせいかなあ。
落葉松さんのブログで、あっという間に大きくなっていく編地に、いつも感心しています。この冬は、またいろんな編地が登場しそうですね。
そんなことも含めて、これからも落葉松さんのブログを楽しみにしています。
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