さて今回も、織りの組織やドラフト図になじみがないと、分かりにくい話かもしれません。ご了承ください。
こんな4ブロックパターンを
経と緯のトルコ朱子(4枚の破れ斜文)を組み合わせた組織で織ろうとすれば、こんなふうに
16枚の綜絖と16本のペダルが必要。
これをもっと少ない綜絖枚数で織るには、2組の綜絖(紋綜絖+地綜絖)を使うという手があります。そして、それを試してみたけれど実用的ではなかった…というのは今まで何回かにわたって書きました。
その実用的ではなかったタイアップというのは、紋綜絖を4枚、地綜絖を4枚、合計8枚の綜絖を使うというものでした。
でも実は、手織りの組織の教科書には、たいてい別のタイアップが紹介されているのです。紋綜絖の枚数は、ブロックの綜絖数の2倍、すなわち今回の場合だと8枚使うというタイアップ。地綜絖とあわせると、全部で12枚が必要になります。
その話の前に、少しもどって…
以前試した、8枚綜絖によるタイアップです(詳しくはこちらの記事)。
上から数えて4番目までの綜絖が紋綜絖。織り手側から見ると、奥になります。そして下側、残り4枚が地綜絖、紋綜絖より手前にぶらさげます。
紋綜絖とつながっているペダルを踏むと、すべての綜絖が動きます。そして、地綜絖部のペダルでは、動くのはグレーと赤で印を付けた部分のみです。
織るときには、紋用のペダルと組織用のペダルを同時に踏みます。そうすると、紋綜絖は上がる、あるいは下がります。地綜絖は、赤の部分だけ上がり、グレーの部分だけ下がります。残りはそのまま。だから、その残りの部分においては、紋綜絖が上がっていれば経糸は上がった状態だし、下がっていれば下がった状態で、地綜絖の影響は受けません。
地綜絖が上下いずれかに動く場合は、最終的に経糸の位置を決めるのは地綜絖。そのときは、紋綜絖が上がっていようが下がっていようが関係ありません。
ですからこのタイアップだと、一部の経糸は、紋綜絖で上がり地綜絖で下がる、あるいは紋綜絖で下がり地綜絖で上がる、という無理な動きをすることになります。だから、紋綜絖と地綜絖の距離が十分にとれない普通の機では、経糸に負担がかかりすぎて、ちゃんと開口してくれなかったのでしょう。
さて、ここからが、教科書などで紹介されている方法です。
教科書で紹介されているのは、地綜絖が動かす経糸は、紋綜絖では動かさないっていうもの。
説明のために、再び上の図から、織り上がり組織図の一部をコピペ、加工してみました。
青の長方形で囲んだところは、地綜絖によって動く部分です。すなわち、その部分は紋綜絖を上げても下げても、最終的な結果は同じ。だからそこでは、紋綜絖を動かす必要などないのです。
ですから、緑の四角で囲んだ部分においては、白い部分の経糸が沈むようにタイアップをする。そして、オレンジで囲んだ部分では、長方形で囲んだ以外の赤の経糸が浮くようにタイアップをすると、それで十分。
青の長方形で囲んだ部分は、すべて地綜絖の動きに任せてしまうことにします。
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