地綜絖で動かす経糸を紋綜絖で動かさないとき、紋綜絖のタイアップがどうなるのか考えてみます。
こちら、何度も使いまわしている図の一部ですが…
この図の織り上がり組織図の部分(左上部分)を、地綜絖を無視して描きなおしてみます。
経糸が沈む、すなわち紋綜絖が下がる場合をグレー、経糸が浮く、すなわち紋綜絖が上がる場合を赤で表したのが下の図です。
経糸が沈む、すなわち紋綜絖が下がる場合をグレー、経糸が浮く、すなわち紋綜絖が上がる場合を赤で表したのが下の図です。
地綜絖によって経糸が動く部分には色がついていません。その部分の経糸の動きは、地綜絖にお任せなので、紋綜絖では経糸を動かさないからです。
この紋綜絖の動きを、ドラフト図にしてみます。
タイアップ図で、赤であらわした部分は、綜絖が上がるように、グレー部分は綜絖が下がるようにタイアップします。でも、色がついていない部分は、特に綜絖を動かす必要がないので、タイアップしません。
ということで、地綜絖も含めたタイアップはこうなるはず。
ここでは、赤がアップ、グレーがダウン、そしてそれ以外はタイアップなし。
長々とした説明になりましたが、この方法だと、16枚の綜絖が必要な組織が12枚綜絖で織れるのです。
綜絖通しの手間が2倍になること(それぞれの経糸を紋綜絖と地綜絖の2つに通さなければなりません)、踏み順が手間なこと(正しい順番でペダルを踏むのに、意外なほどに集中力が必要でした)を考えれば、あまり実用的ではないかもしれません。でも、機の綜絖数が限られているときには、十分使える方法だと思います。
いつ誰が考え出した方法なのでしょうね。いずれにしても、1920年代にフィンランドで出版された本には、すでにこのようなタイアップが紹介されています。
ただ、綜絖が上にしか、あるいは下にしか動かない機では多分、この方法は使えないと思います。一般にフィンランドで使われている機は、カウンターマーチといわれるタイプ。綜絖が上にも下にも動くタイプです。ですから、こんなタイアップも問題なく使うことができるんだと思います。
ところで、2組の綜絖を使う方法は、二重織りにも応用できるようです。もちろん、タイアップ自体は変わりますが。
平織りの二重織りには、4枚の綜絖が必要です。普通に2ブロックの模様を織り出そうと思えば、必要な綜絖数は4×2で8枚、3ブロックだと12枚、4ブロックだと16枚…
2組の綜絖を使う方法だと、3ブロック模様は10枚、4ブロックは12枚、5ブロックは14枚…で織れるはずです。
先人の知恵ってすばらしい!
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