どんな組織の場合でも、おそらくある程度の違いは現れるのでしょうが、特に本などに取り上げられるのは、平織に現れる特徴です。
これは、コットンの平織シーツの表面。既製品です。ぼこぼことした斜めの線が見えます。
新品の時点ではこんな線は見えなかったので、デザインとして意図されたものではなさそう。でも、最初の洗濯でこうなってしまったのでした。
手織りでも、ウールやコットンで平織して仕上げをしたら、斜めのぼこぼこ線が出てきてしまった、という経験をされた方も、もしかするといらっしゃるかもしれません。
上の布の表面を超拡大してみると
経緯ともに Z撚りの糸が使われているのが分かります。
そして、こんなふうに同じ撚りの方向の糸での平織だと、斜めのぼこぼこ線が出やすいらしい。
例えば緯糸と経糸にZ撚りの糸を使う場合。
この図では、経糸と緯糸が交差しているところを表したつもり。黒い斜めの線は、表面から見た撚りの向きです。グレーの線は、このときの緯糸の裏側…経糸と接している面の撚りの向き。
手前側では、経糸と緯糸の繊維の向きは、それぞれ右上がり・左上がりと逆になります。でも、経糸と緯糸が接している面では、経糸と緯糸の繊維の向きが同じになります。
そのため、経糸と緯糸の繊維が噛み合ってくっつきやすい。そして、それが時によって表面のぼこぼこ模様を作り出すことになる、ということのようです。
一方で、経糸と緯糸の撚りの向きが違うとき…例えば、経糸がZ撚り、緯糸がS撚りの場合はそうはならない。それに、表面に見える繊維の向きが同じなので、光沢のある、きれいな平織になるんだとか。
もっとも、経緯ともに撚りの向きが同じ糸を使ったからといって、必ずしもぼこぼこ模様が出るとは限りませんよね。経緯とも同じ撚り方向の糸を使った布でも、滑らかな光沢のある布もあるし。
糸の撚りの向きよりも、撚りの度合とか糸の密度とか仕上げ方とかの影響があるのでしょうね、きっと。
実際、身の回りにある平織の布(シーツとかブラウスとか)を観察してみたところ、ぼこぼこ模様のないきれいな平織の場合でも、経緯ともに撚りの向きが同じというのがほとんど。
…というより、実は、経糸と緯糸で撚りの向きが違う、という平織の布は、うちの中からは1枚も見つからなかったんです。
手元にある古い本(関連記事:【本】Kankaiden sidosoppi 〜織りの組織に関する古本〜)では、「撚りの向きが違う経糸と緯糸を使うのが、(平織では)一般的」なんて書かれているんですけどね。時代の流れでしょうか?
家にある既製品の中に、経糸と緯糸で撚りの向きが違っているものを見つけられれば、それを観察してみたかったのですが、残念。
違いを観察したければ、自分で織ってみるしかないですね。
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