niisipyörät; pyöräset 機の滑車 制作年:1941年以前 画像元: niisipyörät; pyöräset | Kansallismuseo | Finna.fi (国立博物館) ライセンス: CC BY 4.0 |
この部品は、機の上にわたっている横棒に通して使われます。こんな風に。(下の写真の pyöräset は、上の写真と同一のものではないですけど)
kangaspuut; pyöräspuut (kangaspuut) 機; 滑車式機 画像元: kangaspuut; pyöräspuut (kangaspuut) | Kansallismuseo | Finna.fi (*セウラサーリ野外博物館に展示) ライセンス: CC BY 4.0 |
さて、まずは、この言葉自体について少しややこしい話から。
pyöräset は複数形。滑車ひとつは pyöränen です。でも、機で一つだけの滑車を使うことはあり得ない。だから記事名も複数形にしています。
それから、pyöränen(pyöräset)って、機に関しては使われるけれど、一般にはほとんど使われることがない言葉。辞書には載っていません。フィンランド語で一般に「滑車」を意味する言葉は、全く別のものです。
さらに、言葉って地域や時代によって違うことも多い。機の滑車の名称として、他の言葉が使われていることもあります。
例えば、機で使われる滑車を pyöränen といわず、単に pyörä ということも。これは、車輪状のものを指すのに一般に使われている言葉。
あるいは、滑車を何段かにして使うとき、一番上の大きな滑車が pyörä で、その下に使われる小型の滑車が pyöränen といわれることも。
博物館のデータベースでは niisipyörä という名称が多く使われているようです。(niisi とは綜絖子のこと)
単なる機の部品である pyöräset (…このあとは「滑車」ということにします…)の姿かたちはいろいろ。最初の写真のようなシンプルなものがおそらく多いのだろうけれど、彫刻がどこされたものも残っています。
18世紀に作られたもの。単純な線が彫られているだけだけれど、なかなか豪華!
niisipyörät; pyöräset; niisi 機の滑車 制作:1757年 画像元: niisipyörät; pyöräset; niisi | Turun museokeskus | Finna.fi (トゥルク博物館) ライセンス: CC BY-ND 4.0 |
こちらは19世紀。
niisipyörät; niidenpyörät 機の滑車 制作年:1840年 画像元: niisipyörät; niidenpyörät | Kansallismuseo | Finna.fi (国立博物館) ライセンス: CC BY 4.0 |
こちらはがっちりタイプ。制作年は不明ですが、博物館にこれを寄贈した方のおばあちゃんが使っていたものだそうです。
niisipyörä 機の滑車 制作年不明 画像元:niisipyörä | Turun museokeskus | Finna.fi (トゥルク博物館) ライセンス: CC BY-ND 4.0 |
他にもいろんなタイプのものがありますが、きりがないので紹介はこれぐらいにしておきます。
ところで、日本ではろくろ式の機ってありますよね。でもそのタイプの機をフィンランドでは見たことがない。ずっと不思議だったのです。滑車式よりもろくろ式のほうが安定して動くだろうにと。
でも、古い滑車を見ていて気付きました。木工職人でもない普通の人が機を作っていたわけです。素人なりに考えるに、ろくろを作るにはきっとそれなりの道具が必要じゃないかと思うんですよ。滑車は作れても、ろくろを作ることのできる技術も環境もなかったのだろうと思います。もっとも単に「ろくろ式の機」という発想自体がなかったことも考えられますが。
今でもフィンランドでは、「ろくろ(orsipyörä)式の機」は使われていません。ただ、こんなろくろはくうっけりも持っています。天秤式の機に取り付けるタイプのもの。天秤式もいいけれど、こっちのほうが便利ってこともあるのです。
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2 件のコメント:
滑車のデザインが、なぜか仏具の金剛杵に見えてしまいます(^^ゞ
そのせいなのか、祈りを込めて装飾を施したのかと想像してみました。
カウンターバランス式とろくろ式は共通するところが大きいのでしょうか?
リネンも絹も伸びにくい糸かと思います。
糸が変われば、織り機も変わる
というようなことをどこかで(←めっちゃ無責任ですみません(^^ゞ)読んだ気がします。
こういう違い、とても楽しいです(⌒▽⌒)♪
木工は男性の仕事で、織りは女性の仕事だったらしいです。だから、愛♥もいっぱいこもっていたかも。
カウンターバランス式とろくろ式は、基本的には同じようなものだと理解しています。
ほら、滑車でもろくろでも、動き方は同じじゃないですか。
使い心地とか使い方のコツとかはいろいろ違うかもしれないけれど、タイアップなんかは同じはず。
…とはいうものの、私自身はどっちもちゃんと使ったことないので、話半分で聞いといてください(^_^;)
糸が変われば織り機も変わるというのは、全くその通りだと思います。
絹については知らないのだけれど、リネン糸は、綜絖が上下に動く機(カウンターバランス式か天秤式)じゃないと織りにくいというのは経験済み。
それからおそらく、絹を扱う歴史のある日本の機は、フィンランドの機よりもずっと繊細な作りになっているんじゃないかな。
…そういうことをあれこれ考えるのも楽しいですよね。
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