手織り・染色・手紡ぎ等々、手仕事の記録です。フィンランドでのものづくりについても紹介しています。フィンランド発信。

《PYÖRÄSKANGASPUUT》カウンターバランス式の手織り機

フィンランドの機といえば天秤式(カウンターマーチ)というイメージがあるかもしれません。でも、フィンランドで昔から使われていたのは、pyöräskangaspuut というタイプの機。

pyöräskangaspuut は複合語(pyöräs- + kangaspuut)。 kangaspuut は機のこと(《KANGASPUUT》フィンランドの織機)。その前にある pyöräs は、単語 pyöränen の変形です。pyöränen って一般に車輪のことですが、ここでは機に取り付けられる滑車のこと。

つまり、pyöräskangaspuut とは滑車式の機。このタイプの機、日本語ではカウンターバランス式といわれることもあるようです。

フィンランドの博物館などでよく目にするのはこのタイプ。機の上部、横にわたっている棒から、滑車の付いた腕が取り付けられています。

kangaspuut; pyöräspuut (kangaspuut)
機; 滑車式機
画像元: kangaspuut; pyöräspuut (kangaspuut) | Kansallismuseo | Finna.fi 
(*セウラサーリ野外博物館に展示)
ライセンス: CC BY 4.0 

pyöräskangaspuut って長い単語なので、上の写真名にもあるように、一般には pyöräspuut っていわれることのほうが多いみたいです。

いずれにしても pyöräs(kangas)puut は、綜絖を動かす仕組みに注目した名称。そのため、姿かたちは様々。

ところで、博物館に置いてあるのはたいがいこの pyöräspuut。でも、学校やハンドクラフトセンターなどでこのタイプの機を使っているのには、くうっけりは出会ったことがありません。カウンターマーチ式の機が追いやっちゃったのかな。。

それでも、個人の家では使い続けられてきたのでしょう。ネットオークションに pyöräspuut タイプの機が出ていることも意外に多いです。まあそれらの中には、見るからに屋根裏や物置に何十年も置き去りにされていたらしき機もありますけどね。

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2 件のコメント:

karamatsu さんのコメント...

すごいね、手作り感満載の車輪やがっしりした柱、全体の作り。

北欧というと白樺と松系の木質の軽い木ばかりかと思ってたけど、これは違うね。
ナラとかイタヤ、クルミ、カシ、そういう重い木でできてるように見える。

日本の織機も、きっと同じだと思う。
私は趣味や仕事で手織りにかかわる人たちのカテゴリにいるから織る人が見えるけど、
世間一般でいえば、近くでもおばあさんの代までじゃないかしら、自宅で手織りなんて。

消えはしないでしょうけど、どこでも、その地域その民族の固有の文化が細っていくのが見えてさみしいね。


ところでね。
今回やむなく納車になった除雪機、フジイコーポレーションって新潟のメーカーなんだけど、
フィンランドのロバニエミ市のオフィシャル除雪機なんだって。
サンタクロース公認の除雪機です、ってパンフに書いてあった。

なんかうれしくなってちょっとお知らせまで(⌒∇⌒)

Kuukkeli (くうっけり) さんのコメント...

この作りと、経てきた年月の長さがどっしり感を醸し出しているけれど、使われているのは意外にもごく普通の木材。白樺、マツ、トウヒの3種。いずれもフィンランドではごく身近な木です。

機は、その地で手に入るものを使っての自家製だったんだと思います。だから、素材の選択肢は限られていたのでしょうね。でも、古い機はそれぞれ形に個性があって面白い♥ 幹の根元のカーブや曲がって育った幹の形をそのまま利用していたり、部分部分に彫刻がほどこしてあったり。

専門の職人さんの作ったものと比べると姿かたち、そして場合によっては機能も劣るのかもしれないけれど、それでも昔の機とか道具とかには、なんだかとても惹かれます。

確かに、文化はだんだん変わっていきますね。手織りも今は生活必需じゃないですもんね。さみしいけどしかたないんだろうなあ…


えっ、サンタクロース公認の除雪機?! すごい!!
サンタクロース村でも活躍しているんでしょうか?!
でも考えてみれば、フィンランドに比べると日本は、すごい豪雪国ですもんね。
除雪機も、日本製ってすごく性能いいのかも。

@tapionokuni