手織り・染色・手紡ぎ等々、手仕事の記録です。フィンランドでのものづくりについても紹介しています。フィンランド発信。

《LOIMEN LUONTI》整経

布を織るためには、まず経糸が必要。

枠のような簡単な装置で織るときには直接そこに経糸をかければいいけれど、機で織るときにはそういうわけにはいきません。

そこで、機とは別な装置で経糸を必要な長さ・順番に並べて準備することになる。その作業をフィンランド語では loimen luonti もしくは loimen luominen といいます。日本語の整経に当たる言葉です。

前回書いたように、loimi経糸のこと( 《LOIMI》経糸《KUDE》緯糸)。その形がちょっと変化して loimen  となると 経糸の という意味になります(小難しく言うと、loimi の属格が loimen)。一方、luontiluominen創造(すること)

日本語だと経糸を整えるわけですが、フィンランド語だと経糸を創造しちゃう!! すごいですよね。作業自体は同じだけど 😁

さて、フィンランドでお馴染みの整経作業はこんなの。

kangasta luodaan Mustasillan talossa
(ムスタシルタの家での整経作業)
撮影者:Eino Nikkilä
撮影年:1930年
撮影場所:Karvia(フィンランド)
画像元:kangasta luodaan Mustasillan talossa | Museovirasto - Musketti | Finna.fi
ライセンス:CC BY 4.0

写真は古いけれど、整経そのものの作業は今も同じような感じ。写真右手奥に写っている糸が巻かれている道具(巨大糸巻き⁉)は、今は一般には使われていませんが。
(織りとは全く関係がないけれど、天井もご覧くださいませ。棒に通された、丸くて平べったいのは、ライ麦パンです)

一方、昔の写真の中にはこういうのもあります。

emäntä Irinja Filatkin luo kangasta seinällä
イリンヤ・フラトキン婦人が壁面で整経
撮影者:Tyyni Vahter
撮影年:1929年
撮影場所:Suistamo(現ロシア領)
画像元:emäntä Irinja Filatkin luo kangasta seinällä; pitkän kankaan loimi kiertää jokaisen nappulan ympäri | Museovirasto - Musketti | Finna.fi
ライセンス:CC BY 4.0

整経用の棒が取り付けてある部品が、壁に取り付けてあります。もう一方は見えないけれど、おそらく同じようなものが取り付けてあるはず。それらを使って壁に沿って整経しているようです。

整経する人はたくさん歩くことになるから作業自体は大変かもしれないけれど、大掛かりな道具が必要ないというところはいいですよね。もしかすると、昔はこういうのが一般的だったのかもしれません。


最後に、お気に入りの単語を一つご紹介しておきます。luoja(ルオヤ)です。これは整経工のこと。

この言葉の何がすごいって、かの世界的に有名なお方の呼び名と同じだということ。固有名詞で Luoja といえば創造主…つまり神様のことなのです。

整経工と神様が同じ言葉で呼ばれるって、なんだか嬉しくなりませんか?

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2 件のコメント:

ニコちゃん さんのコメント...

整経工が創造主なる神様!!

経糸を創造されたのが神様で、横糸を織り込むのが人間かぁ。

とても不思議。

また織物を織りたくなりました(^^)

Kuukkeli (くうっけり) さんのコメント...

コメントありがとうございます。

言葉って面白いです、ほんとうに。
織物ってきっと昔は、人の生活になくてはならない大切なものだったんだろうなあ。

そういえば私もこのところ布を織っていません…😅
近々再開しなくては!

@tapionokuni