フィンランドの裂き織りマットの背景が知りたくて、Toini-Inkeri Kaukonen著『Kyynärä pohjaa, kortteli raitaa―Riepukudonnaiset ja perinteiset lattiamatot (英題:A cubit of ground and a quarter of strip―Rag weaves and traditional floor mats)』(1998年出版)という本を読んでみました。
著者は、民族学者。フィンランドの、特にテキスタイルの歴史・文化を研究されていた方です。
一言に裂き織りマットと言っても、そのデザインは、時代や作り手によってさまざまです。そんな中で、数多く織られていたデザインの一つが、地に横縞の入ったマット。そして、その縞の入れ方の目安として使われていた言葉が「kyynärä pohjaa, kortteli raitaa」(メートル法で言えば、「約60㎝の地、約15㎝の縞」)で、書籍名はそこからきています。
フィンランドの古くからの裂き織りとフロアーマットについて、その歴史や分布、製作法や使用法などについて書かれている本です。一般読み物というよりは研究論文。本文はフィンランド語ですが、英語のサマリー付きです。
写真が多く挿入されて、それをたどるだけでも面白い…昔のインテリアだとか、マットを織っている様子だとか…
内容についてはここでは触れませんが(そもそも、うまくまとめられそうにない)、裂き織りについてもマットについても、今まで全く知らなかったことが盛りだくさんでした。
参考までに、フィンランドの博物館が公開している写真の中から、裂き織りマットが写っている古い写真を載せておきます。先織りマットが写っている写真はいっぱいあるけれど、きりがないのでここには2枚だけ。本に載っていたものとは別の写真です。
Sofia Antila? järjestämässä komeroa Lapualla ソフィア・アンナ(?)クローゼットを整頓中 ラプアにて 撮影者・年・場所:Kyytinen Pekka・1950年代・ラプア 画像元:Sofia Antila? järjestämässä komeroa Lapualla | Museovirasto - Musketti | Finna.fi ライセンス:CC BY 4.0 |
次の写真はもっと古い。この時代にこれだけぎっしりマットを敷き詰めているので、なかなか裕福なおうちなんじゃないかな。
nainen kumartuneena kehdon puoleen ゆりかごのほうにかがんでいる女性 撮影者・年・場所:Roos Ina・1907年・Tiukka 画像元:nainen kumartuneena kehdon puoleen | Museovirasto - Musketti | Finna.fi ライセンス:CC BY 4.0 |
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話変わって…フィンランドの国の人口は現在540万人余り…北海道の人口と同じぐらい。そう考えると、小さい国です。面積は北海道よりずっと大きいですけどね。
フィンランド語は、そんな国の公用語でしかありませんから、フィンランド語で書かれた本なんていうのは、世界的にみると、とんでもなくマイナーなものといえそうです。
でも、せっかくそんな本を見たり読んだりできる環境にいるので、それらの本にもっと親しんでみようと思うようになりました。そして、このブログにも取り上げていきたいと考えています。何しろ本の言語が言語ですから、何の参考にもならないとは思いますが、「フィンランドにはこんな本があるのだね」…ぐらいに受け取っていただければうれしいです。
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