手織り・染色・手紡ぎ等々、手仕事の記録です。フィンランドでのものづくりについても紹介しています。フィンランド発信。

経緯の糸の撚りの向きが同じとき・違うとき

糸の撚りの向きが、平織に与える影響について、ネットや本で拾い読みをしたことなどをもとに、ここにメモしておきます。

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表面の光沢と織り目

経糸と緯糸に撚りの向きが違う糸を使うと、布の表面から見たとき、繊維の向きが同じになるので光沢が出る。織り目ははっきりしない。

使い回しの写真ですが…
光沢と織り目の明確さの違いが多少はある気がするのですが、いかがでしょう?

撚りの向きが同じ糸だと、布の表面から見たとき、繊維の向きが同じでないために乱反射して、光沢は上記に劣る。その代り、織り目がはっきりする。

見る角度によって色が違って見えるということは、
確かに表面の光の反射の仕方が違うということなのでしょう。

凸凹とカール

糸は、撚りをかけることで糸として成り立っているわけだけれど、願わくば?その撚りを戻したいらしい。例えば、温水につけると撚りを戻そうとする力が働く。

経糸と緯糸に撚りの向きが同じ糸を使った時、経糸と緯糸が触れ合う面では繊維の向きが同じになり、糸同士が食い込みあう。加えて、経緯それぞれの糸がそれぞれに撚りをもどそうとするものだから、それがお互いに影響し合って、表面に凸凹ができる。(関連記事:糸の撚りの向きと平織

経糸と緯糸に撚りの向きが違う糸を使うと、経糸と緯糸が触れ合う面では繊維の向きが違うので、糸同士は食い込まないし凸凹もできない。その代り、糸が撚りを戻そうとする力は、経糸緯糸ともにほぼ同じ向きに働くので、布端がカールする。

写真はないのですが、これはまさにその通りでした。
洗って脱水して物干し台にかけた状態だと、角の所がくるんとカールします。
アイロンをかけたらきれいに平らになりましたけど。

布の厚さと縮絨

経糸と緯糸の撚りの向きが同じだと、糸同士が触れ合う面でも繊維の向きが同じになるので、糸が食い込みあい、布が薄くなる。

撚りの向きが違うときにはその逆で、糸同士は食い込まないので厚地になる。

試しに織ってみたウールのマフラーでは、この違いは実感できませんでした。
理論としては分かる気がするのですが。

さらにウールの場合

経糸と緯糸の撚りの向きが同じだと、糸同士が触れ合う面での経糸と緯糸の繊維の向きが同じなので、お互いに絡まりやすく縮絨しやすい。一方で、繊維の向きが同じために緯糸を打ち込むときの摩擦が大きくなり、打ち込みにくい。さらに、経糸と緯糸がかみ合ってしまうので、緯糸を密に打ち込むことができない。

経糸と緯糸の撚りの向きが違うときには、糸同士が触れ合う面では経糸と緯糸の向きが違うために繊維同士が絡まりにくく縮絨しにくい。一方で、緯糸と経糸との摩擦は少ないので緯糸を打ち込みやすい。さらに、繊維同士もかみ合わないので、緯糸を密に打ち込むことができる。

縮絨をしっかりしたわけではないし、布を密に織ったわけでもないので、
実際にどの程度の違いがあるものなのか、よくわかりません。

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実際には、市販の糸を使うときには、撚りの向きはたいてい決まっているので、選択の余地はないでしょう。また、バランスのとれた撚糸であれば、撚りの向きによる影響はあまりないのかもしれません。

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@tapionokuni