昨年出版されたカード織りの本です。
Nauha-aarteita
– Arkeologisia lautanauhoja Suomen rautakaudelta –
著者:Maikki Karisto & Mervi Pasanen
出版:Salakirjat, 2020年
– Arkeologisia lautanauhoja Suomen rautakaudelta –
著者:Maikki Karisto & Mervi Pasanen
出版:Salakirjat, 2020年
書名はおおよそ「バンドの宝物 – 発掘されたフィンランド鉄器時代のカード織りバンド –」。うまく訳せず、だいぶ意訳してます😓
著者は、以前にご紹介した本(⇒【カード織りの本】Omenaisiä ja revonneniä 〜フィンランドのカード織りパターン集〜)と同じ。また、著者のひとり Karistoさんは、カード織りの入門書(⇒【カード織りの本】Lautanauhat ~カード織りの入門書~)でもお馴染みの方。
フィンランドの鉄器時代の複数の墓地からカード織りバンドが発掘されてきました。この本には、それらの復元パターンが56種紹介されています。
鉄器時代のカード織りバンドが発掘されているとはいっても、発掘されているのは断片でしかありません。テキスタイルあるあるで、ほとんどが長い年月の間に地中で分解されてしまう。特にフィンランドの場合、土壌が酸性なので分解されやすいんだとか。ただ、装飾品として使われていた銅のおかげで、一部の断片が残っているだけなのです。
復元されたパターンを見てしまえばどうってことないカード織りでも、織りの構造をそこまで分析するのは並大抵のことではない。この本を見るとそれがよくわかります。というのも、本には、復元されたパターンのもとになっている、発掘されたバンドの断片の写真も紹介されているから。研究者ってすごいですよ、ほんとに。
フィンランド鉄器時代のカード織りパターンだけでなく、バイキング時代のカード織りのパターン、Birkaのカード織りパターン…いろいろ復元されていますよね。でも、実は私、この本を手にするまでは、それらのパターンが描かれるまでの背景というのを考えたことが全くありませんでした。天然繊維で作られたものが1000年もの間そのままの形状を保っているはずもない…そんなことは、ちょっと想像すればわかりそうなことなのに💦 いろいろなカード織りを楽しめるのは、研究者たちのおかげでもあるんですよね。その考えが、私の頭の中からはすっぽり抜けていました。情けない…
本では、フィンランドでのカード織りの研究の歴史についても触れられています。同じカード織りの断片がもとになっていても、過去に復元されたパターンは正解とは限りません。当時はそれが正しいと考えられても、現代の技術で新たなことが発見できたりなんてこともある。例えば、ハーフターン(half turn)とチューブ状の耳(tubular selvages)(⇒カード織り no.8 〜ハーフターンとチューブ状の耳〜)は、比較的新しい発見みたいです。
ところで、鉄器時代というといつ頃のことを思い浮かべます? 日本だと弥生時代とか大和時代とか?
フィンランドの鉄器時代は紀元前500年ぐらいから紀元後1200年代ぐらい。でもって、カード織りが発掘された墓地は、主に鉄器時代後期のもの。11世紀~13世紀ぐらいのものみたい。時代の感覚が日本とちょっと違います。一応参考までに。
この本、今年になって英語版も出版されました。
この本を取り扱っているネットショップが日本にもありますね。私が見つけたのは
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