機で織られる布というのは、経糸と緯糸が組み合うことで形成されています。その組み合い方のことをフィンランド語では sidos っていいます。日本語でいう「組織」。
日本語の「組織」の定義は見つからなかったけれど、辞書には
織物で経(たて)糸と緯(よこ)糸を組み合わせること。また、その交錯のし方。 『大辞林 第三版』よりとありました。
日本語の場合は、経糸と緯糸が組み合い方が「組織」で、それを図に表わしたものが「組織図」。それぞれを sidos、kankaankuva というフィンランド語の比べると、分かりやすいですね。
ところで、フィンランドの織関係の専門学校では組織に関する授業があって、上の写真にあるような本が教科書として使われていました。それでおそらく、組織に関する本も時代に応じたものが出版されてきたのでしょう。写真にあるのはその中の一部。その他にくうっけりが持っていない本もフィンランドには数種あります。フィンランドの人口(北海道の人口と同じぐらい)と布の組織という特殊な分野であることを考えると、なかなかの数。
ただ今は時代も変わり、織りを教える学校はだいぶ減っているみたい。だから、今後はもう、この類の本がフィンランドで新しく出版される可能性は少ないかも…😢
蛇足ですが…
布についての話だと分かっているときには sidos といえば何のことか通じます。でも sidos という単語は布とは全く関係ない場合にも使われるのですよ。
例えば「化学結合」なんていうときの「結合」が sidos、足や手などに巻かれた包帯なども sidos …
だから、sidos という言葉だけだと誤解が生じることもあり得るのです。その例が1911年に出版された『SIDOSOPPI』という本。織りの組織学の本として出版されたこの本、内容を誤解されることがあったのだとか。それで、改訂版では『KANKAIDEN SIDOSOPPI(布の組織学)』としたのだそうです(上の写真の一番手前に写っている本)。
そのことに学んだのか、それ以降に出版された本は、最初から書名のどこかしらに「布(kangas)」という言葉が姿かたちを変えた形で入っています。
日本語の「組織」もそういうところでは共通してますね。「組織」って織りの世界じゃないところで一般に使われる言葉だし。だから、日本語でも「織組織」とか「織物組織」という言いかたがされるのでしょう。
でも、「sidos」と「組織」が似ているのはそこまで。そもそも「sidos」を「組織」と訳せるのは、織り用語としてのみ。それ以外については、「sidos = 組織」ではありませんので念のため。
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2 件のコメント:
組織の本の話が出たので尻馬に乗って(^^ゞ
今日、tabiraboっていうメルマガに、フィンランドは図書館の多いところだけど、
また新たに、ヘルシンキ中央駅近くに大きな多目的図書館?が開くらしいとありました。
知識だけでなく、幅広いスキルを得られるような新世代公共スペースだそうです。
建物もとってもデザイン性が高くて、ここを見るだけのために観光客しちゃおうかと、思ったくらいです(笑)
フィンランドは去年が独立100周年。で、ヘルシンキの中心街にできる図書館はそれを記念して、ということらしく、設立にはかなり力を入れてるみたい。あと2週間ほどで開館するので、準備も着々と進んでいるようです。
そういえば何年か前、フィンランドの図書館を見に来たという日本人の団体さんに会ったことありますよ。その頃にもすでに、フィンランドには訪問に値する図書館があったということですね。でも、ヘルシンキの中央図書館ができてしまうと、これからはそこだけに注目が集まっちゃうかもなあ…
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