pellavan korjuuta Kurkijoella (クルキヨキでの亜麻の収穫) 撮影:Kyytinen Pekka, 1930年代 撮影場所:Kurkijoki(旧フィンランドカレリヤ地方/現ロシア領) 画像元:pellavan korjuuta Kurkijoella | Museovirasto - Musketti | Finna.fi ライセンス:CC BY 4.0 |
フィンランドでは綿は育ちません。でも、亜麻は育ちます。
亜麻って一昔前まではフィンランドではなくてはならない素材でした。今は亜麻の畑を見ることなんてほとんどありませんけれど。
フィンランドでは亜麻からどうやって繊維を取って糸にしてきたか、それが解説されている動画を見つけました。でも、残念ながら音声も字幕もフィンランド語。自動翻訳を試したらまったく役立たないレベルだし💦
とはいうものの、せっかくなので紹介しますね。動画のあとに、ある程度説明も付け加えておきます。
糸に関わる慣用句
動画に登場しているのは、Erkki Raunio(エルッキ・ラウニオ)さん。動画のはじめの方で、綛上げをしています。導入としてそこで話されているのが、フィンランドで使われている慣用句
pasmat menevät sekaisin(混乱する/(計画などが)台無しになる)
について。
今でもフィンランドで普通に使われている言い回しです。もともとは「pasma(パスマ)が混乱する」という意味。でも今は pasma の意味はほとんど忘れ去られています。
pasma というのは綛でのひとつのまとまった数のこと。一般には60。
綛上げをするときに何周巻いたかを数えていくんですね。そして60巻いたごとにひびろ糸を交差させる。ところが、数えている途中で誰かに話しかけられたりすると、どこまで数えたのかわからなくなってしまう…もともとはそれが "pasmat menevät sekaisin" だったのです。それが今では、pasma のことがすっかり忘れ去られ、それとは全く無関係に「混乱する」の意味で使われているのです。
今でもフィンランドで普通に使われている言い回しです。もともとは「pasma(パスマ)が混乱する」という意味。でも今は pasma の意味はほとんど忘れ去られています。
pasma というのは綛でのひとつのまとまった数のこと。一般には60。
綛上げをするときに何周巻いたかを数えていくんですね。そして60巻いたごとにひびろ糸を交差させる。ところが、数えている途中で誰かに話しかけられたりすると、どこまで数えたのかわからなくなってしまう…もともとはそれが "pasmat menevät sekaisin" だったのです。それが今では、pasma のことがすっかり忘れ去られ、それとは全く無関係に「混乱する」の意味で使われているのです。
亜麻の収穫
動画の撮影場所はこのあたり。
実を取り除く
rohka(ロホカ)という道具(日本の千歯扱きに似てる?)で、亜麻の実を取り除きます。2人で向かい合って座っての作業。収穫に合わせて、畑の上を移動させながら仕事をしたそうです。
作業のとき、下に布を敷いておいて亜麻の実を集めます。乾燥させて砕いて不純物を取り除いた亜麻の種は、パンに入れたりポリッジに入れたり、胃腸薬として使われました。
水に浸す
繊維を取り出すために亜麻の束を沼水や湖水につけておきます。その過程はかなり臭うみたいです。村のつけ置き場などは、遠くからでも臭ったそう。
乾燥させる
次に、浸してあった亜麻を、屋外で乾燥させます。そしてその後、riihi(リーヒ)で仕上げの乾燥。
riihi というのは穀類を乾燥させるための建物です。フィンランドでは夏〜秋が短いから、日本みたいに穀類を屋外で乾燥させることがでないため、乾燥用の建物というのが必要だったのでしょう。そして、穀物の乾燥・脱穀のあと、riihi が亜麻の乾燥にも活用されたということのようです。
繊維以外の部分を取り除く
乾燥した亜麻の茎は、loukku というもので処理されます(動画では2分35秒〜)。木製の刃のようなもので叩くことで、繊維以外の部分(木部?)を砕き落とすのです。
下に落ちたゴミ?も活用されました。居心地悪くてネズミが住み着かないような素材だけれど、断熱材として優秀なのだそうです。あと、家畜の敷き藁としても代用されとか。
この動画では、ロール状のloukkuも紹介されています(3分20秒〜)。普通の loukku よりも作業が捗るそう。
繊維の選別
次は lihtaaja(リヒターヤ)での処理(3分27秒〜)。loukku に似たような道具だけれど、よく見るとこの lihtaaja には、金属の刃がついています。そして、短い繊維がこの作業によって取り除かれます。
この短い繊維も、断熱材として使われました。フィンランドの昔ながらの家はログハウス。そのログの間に詰め込んだりしたみたい(3分40秒〜)。
次に、さらに質の良い繊維を取るために使うのが häkilä という道具(4分〜)。櫛みたいなものですかね。
この häkilä(ハキラ)で繊維を梳いていくと、短い繊維が häkilä に残ります。それらは普通に糸にして、例えば普段着などが作られました。
手に残ったのが長い繊維。豚毛で作ったブラシで梳く(4分24秒〜)ことで、さらに細い繊維を取り出すこともあったようです。ブラシについたその繊維が、最高の亜麻繊維なのだそう。
紡ぐ
tortti(トルッティ)という道具が紹介されています(5分〜)。動画にある tortti を作った男性は、なかなか高度な技量持ちだったようです。あの形、一つの木から作られているそうですよ。
その昔、フィンランドの男性は、こういうものを作って婚約者にプレゼントしたんですって。だからきっと、より念入りに作られているのでしょうね。
tortti は、繊維を取り付けるためのものです。tortti に繊維を巻いて紐などで軽く結び止め、そしてそれを紡毛機にとりつけるんです。そして、繊維を少しずつ引き出しながら糸にしていくわけです。動画の紡毛機についているのは‘torttu じゃなさそうですけど。
そしてまた種まきの季節…
植物の状態から糸にするまでの手間はなかなかのものですよね。今は機械化されているとはいえ、亜麻がコットンよりも高価なのがうなずけます。
追記:現代のリネンづくり
ベルギーのLIBECOの動画を見つけたので埋め込んでおきます。今の時代、昔とは作業の様子が全然違いますねえ。
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こうして糸ができるまでの過程を知ると、お隣さんからいただいた亜麻糸がよりいとおしく思えてきます。
亜麻の種には、こんな活用法もあります。
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2 件のコメント:
前にもこの亜麻畑の様子画像、出してませんでしたっけ。
なつかしーーー!と思った覚えがあるもんで。
子供の頃、農協の作付け奨励作物として村全体で亜麻を作付けしてたことがありますので、子供達も亜麻抜きの手伝いはしてました。
小ーーーさな玉ねぎに似た形のさやが先端についてて、中に亜麻色の種が入ってて、噛むと生なのにどこか香ばしくて、濃い油の味でした。
その時に見た亜麻の花は真っ白だったので、園芸用の鉢に咲いてる青い花は別の品種だと思ってました。
何年か後に、青花と白花の亜麻が売られてるのを見て、妙にほっとした覚えがあります(笑)
束のまま出荷してたので繊維になる過程は知らなかっtのですが、ロープになるらしいと大人たちから聞きました。
日本は亜麻農家を守るために、輸入の麻糸にかなり高額な関税をかけているようです。
コンニャクほどではないようですが😅
この画像を出したは多分初めて。でも、今までにもたびたび古い写真を出していて、落葉松さんに懐かしんでいただいてました。羊の写真とか。
フィンランドの昔の生活が、北海道の一昔前の生活と重なるというのが、本州育ちの私にはすごく新鮮です。この写真を見て私が連想できたのはせいぜい稲刈り…😓
北海道で亜麻が生産されていたというのは、ネットでチラ見したことあるけれど、そういうふうに取り扱われていたのは知りませんでした。亜麻って本州の気候にはあまり合わないような気がするけれど、北海道ではよく育つということだったのでしょうか。それにしてもきれいだったでしょうね、畑一面に咲いた亜麻の花。
そう、亜麻の花って白いのと青いのがあるんですよね。フィンランドの国旗の色…ということでフィンランド100周年の年に、フィンランド国旗状に花が咲いた亜麻畑が話題になっていたことを思い出しました。
今でも北海道では亜麻がたくさん生産されているのかな。日本の品質表示って麻類がぜんぶ一緒くたですよね。日本で使われている麻のうち、亜麻の割合ってどれぐらいなのでしょうね。
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