前回までのディスタフは、すべて紡毛機に取り付けて使われるものでした。でも、この kehräpuu は、スピンドルで糸を紡ぐときにベンチなどに置いて使われたものです。こんな形をしています。
kehräpuu 木製 制作年不詳(1942年以前) 高さ:83cm 画像元:kehräpuu | Kansallismuseo | Finna.fi ライセンス:CC BY 4.0 |
繊維を取り付けるのは板状の部分。繊維がずり落ちないようにピンを刺すための穴が開いています。
上の写真のものは、木の自然の形を利用して、一つの木からつなぎ目無しで作られているそう。彫刻のような装飾はありません。
一方、次の写真のディスタフには模様が彫られています。そして、水平部分は、あとから新しいのにつけ直されていると説明にありました。
kehräpuu; kuosali 木製 制作年不詳 サイズ:高さ 101.50cm, 奥行き 57cm 画像元:kehräpuu; kuosali | Kansallismuseo | Finna.fi ライセンス:CC BY 4.0 |
同じものを別の角度から見た写真です。こちら側にも模様がある!
そして、このディスタフに繊維を取り付けた状態。
博物館が公開している写真の中には、ディスタフだけでなく、繊維を取り付けるためのピンや紐を写したものもいくつかありました。その中の一つです。サンクト・ペテルブルグ界隈で使われていたもの。
kuontalopuikko; kuontalonauha; kuontalopuikko nauhoineen 紐:木綿, 長さ 185cm, 幅 1.5cm ピン:鉄, 長さ 20cm 制作年不詳(1942年以前) 画像元:kuontalopuikko; kuontalonauha; kuontalopuikko nauhoineen | Kansallismuseo | Finna.fi ライセンス:CC BY 4.0 |
そして最後に、紡いでいる様子を写した写真をあげておきます。
majatalon emäntä Maria Kuusimäki kehrää värttinällä (宿の女将 マリア・クーシマキがスピンドルで糸を紡ぐ) 撮影:Vahter Tyyni, 1929年 画像元:majatalon emäntä Maria Kuusimäki kehrää värttinällä; huom! kaunis riipuksin koristettu kuozelpuikko | Museovirasto - Musketti | Finna.fi ライセンス:CC BY 4.0 |
フィンランドの博物館が公開している写真を kehräpuu で検索したページへのリンクも貼っておきますね。
フィンランドに紡毛機が入ってきたのは18世紀。なんでも、西から(つまりスウェーデン側から)入ってきたのだとか。で、フィンランドでも西の方では、18世紀末〜19世紀には紡毛機がかなり普及していたらしいです。だから、その地方での今残っているディスタフは、紡毛機に取り付けるタイプのものばかり。
でも、フィンランドの東の方では、19世紀、あるいは20世紀はじめでもスピンドルが主流の地域も多かったという話。だから、紡毛機に取り付けるタイプよりも古い形のディスタフである kehräpuu が残っていたようです。
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これらは、紡毛機に取り付けるタイプのディスタフです。
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