手織り・染色・手紡ぎ等々、手仕事の記録です。フィンランドでのものづくりについても紹介しています。フィンランド発信。

【本】Räsymatto - nostalgiaa ja nykyaikaa 〜裂き織りマットの本〜

Elina Hassi著『Räsymatto - nostalgiaa ja nykyaikaa』という本を読みました。出版は2013年。写真が多いので、読んだというより見たと言った方がいいのかな…

書名を訳せば、『裂き織りマット - 郷愁と現代』。もっとも「Räsymatto」という単語の中に使われている「Räsy-」という言葉は、単に「ぼろ」とか「布きれ」の意。Räsymattoは布きれを使って作ったマットということになり、この言葉を厳密に訳せば、「布きれマット」とか「ラグ(rag)マット」になります。

すなわち、この「räsymatto」言葉の中には、織るんだか編むんだか組むんだか…技法にかかわることは何も含まれてはいないのですよ。

でも、この言葉が実際にさすのは、細長く切った、あるいは裂いた布を緯糸にして織ったマットにほぼ限られます。すなわち日本語で言うと「裂き織りマット」ということになるわけです。

ところで、räsymatto をグーグル先生に翻訳してもらったら「ぼろ敷物」と出ましたよ。う~ん、イメージが全然違う気が…

本の内容を大雑把に言えば、前半は裂き織りマットのデザインや織り方についての解説、後半は著者の裂き織りマット作品の紹介。

裂き織りマットに関する純粋な教本というわけでもなく、かといって純粋な作品集というのでもなく…

単なる平織での裂き織りマットも、素敵なマットがいろいろできるんですよ、というのを、自分の作品を通じて伝えている本。それぞれのマットのアイデアがどんなところから生まれたかということについても語っています。

これから裂き織りマットを作ってみようかな、という人たちにはいいきっかけになるような本ともいえるし、すでに織ることができる人にとっては、アイデアを与えてくれる本といえるかな。


裂き織りマットは平織以外の組織でも織ることがありますが、著者は、
私は、平織での裂き織りマットが、最も伝統的であり本来のものであり美しいものだと思っています。(P. 20) 
と言います。それって、わかる気がします( 【織り】4枚綜絖で織ったマット - 手仕事@タピオの国)。

さらに、くうっけりの好みと共通しているのは、この著者は経糸をマットの房にしないというところ。房ってどうしてもマット自体よりも先に擦れ切れてしまうんですよねえ。( 【織り】マットの端 - 手仕事@タピオの国

そんなわけで、組織やマットの端の処理のバリエーションはありませんが、使用する緯糸やその入れ方によって、様々な雰囲気のマットができるのだということが、作品群を見るとよくわかります。


本の副題に「nostalgiaa(郷愁)」って言葉があります。育った環境にもよるかとは思いますが、多くのフィンランド人が、裂き織りマットに関する何らかの思い出を持っているらしい。おばあちゃんの家にあったマットであったり、夏のマット洗いだったり…

人それぞれ、いろんな思い出があるのでしょう。本にはそんな思い出話なんかもありました。

ところで、どの時代のマットであっても、その時代に手に入れることができた素材を使ったわけですよね。ですから、例えばおばあちゃんちにあったマットなどは、決して色鮮やかではなかったであろうことは想像できます。

そういう典型的な?古い裂き織りマットのイメージしか持っていない人たちが、「裂き織りマットってなんか古臭いよねえ」なんて言っているのを著者は耳にしたしたことがあるんだとか。そのこともどうやら彼女が、現代の素材で現代のインテリアにもマッチするような裂き織りマットの数々を織りあげたことに関係があるらしい。裂き織りマットは決して古臭いものではなく、今の時代でも十分使えるものなのだということを伝えたかったのでしょうね、きっと。

0 件のコメント:

@tapionokuni