手織り・染色・手紡ぎ等々、手仕事の記録です。フィンランドでのものづくりについても紹介しています。フィンランド発信。

綜絖子が外れないように

フィンランドの機には綜絖というものがありません。それに相当するのは、単なる2本の棒(日本語での正式名は知りませんが、ここではフィンランド語から直訳して、「綜絖棒」と呼ぶことにします)。

綜絖子の上部の輪に一本の綜絖棒を通し、下側の輪にもう一本を通し、それらを上の天秤からぶら下げているだけという、なんとも簡単な作りなのです。


ですから、綜絖子の出し入れには、さほど手間がかかりません。綜絖通しの途中で綜絖子が足りないことに気づいたらすぐに増やせるし、綜絖通しの後で余分な綜絖子を取り除くのもそれほど手間ではありません。

おかげで、綜絖子の数をきちんと数えてセットしてから綜絖通しを始める、なんて習慣はついてないし、そもそも1枚の綜絖に何本の綜絖子が必要かなんて計算したこともないという…
一定の数の綜絖子をいつもセットしておく、なんてことももちろんしていません。

それがこちらで普通なのか邪道なのかは謎。でも、昔の本には、それぞれの綜絖棒に必要な綜絖子の計算法の説明もあったりしますから…やっぱり邪道なんでしょうか?

いずれにしても、その簡単な作り故に綜絖子の出し入れが楽だという利点があるという一方で、綜絖枠にあたる部分が単なる棒であるがために困ることもあります。

機の織り幅いっぱいに経糸をかけた時がそれ。

きちんとセットして織り始めても、綜絖が上下運動をしているうちに、綜絖棒の端のほうにある綜絖子が、その棒の端から外れてしまうことがあるのです。経糸が通っているので、綜絖子が床に落ちてしまうことはありませんが、開口にはすぐに悪影響が出ます。

人によっては、天秤からの綜絖へのコードを、垂直に真下にではなく、綜絖棒の両端に斜めにハの時に取り付けたりもしているようです。そうすれば上の綜絖棒からは綜絖子は外れませんけれど、その方法は、なんとなく受け入れられないんですよ。天秤や綜絖の動きを考えると、理に反している気がして。

で、今までは、綜絖子を綜絖棒にセットした後、綜絖棒の端から端までコードを渡して結んでおくことで、綜絖子が外れるのを防いでいたのです。

もっと手軽な方法はないものかと考えて、今回こんなことを試してみました。


綜絖棒の端にある穴に紙紐を通して、大きめの結び目を作ってみたんです。この写真の状態を見る限り、こんな簡単なものでも十分なつかえになっているようです。

実際今回は、最後まで綜絖子が棒から一度も外れることなく、織りを進めることができました。

こんなちょっとしたつかえさえあればいいんだってことに、何で今まで気づかなかったんだろう???

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「綜絖」という言葉の使い方がいまいちよくわかっていません。

4枚綜絖とか8枚綜絖とかいうときの「綜絖」は、綜絖枠全体、いわゆる「シャフト」を指す?
単に「綜絖」というときには、一本一本の綜絖、いわゆる「へドル」を指す?
全体を指す時も一本一本を指す時も同じ言葉だとしたら、混乱してしまわない??

よくわからないので、この記事ではあえて、インターネット上で見つけた「綜絖糸」という言葉を使ったのですが、検索してみた限り、この言葉もそれほど一般に使われている言葉ではなさそう…
*追記:その後、一般には「綜絖子」だということを教えていただきましたので、訂正しました。

織物用語に関して言えば、実際にそれを学んだ時に使った言語であるフィンランド語での用語はわかるのだけれど、日本語での用語は未だにチンプンカンプンです。

本を見たりインターネットで検索したりして、できるだけ正しそうな言葉を選んで使うようにはしているつもりです。でも、何しろどこかが抜けてるくうっけりのこと、誤解間違いなんでもありそうなので、お気づきの点がありましたら、ご指摘いただけるととてもうれしいです。

用語どころか日本語自体も変だよ、ってこともあるかと思いますが(母語であっても普段使わないとうまく使えなくなるものなのですよ←この言い訳を使うと、昔から国語が苦手だった事実を自分でも認めなくて済む)、その辺は笑って許してやってください。

2 件のコメント:

i.asaoka さんのコメント...

こんにちは。asaokaです。

なるほど!!綜絖棒にコードを渡して結ぶのは、うっかり手をはなすと拾うのが大変で、何か良い案はないかと思案していたところです。早速、紙ひもを試してみます。
でも、糸綜絖の長さが購入時期により3タイプほどあるので、簡単に入れ替えができないのが悩みの種です。それに、そそっかしいので、よく落っことすし・・・。

「綜絖」のお話ですが、分かりにくいのは、綜絖に限らず・・。

ええと、古くからあるのが、糸の綜絖だからという説もあるようですが、「綜絖子」と書く方のが一般的のように思います。

実は、道具や部品の和名を調べる時は、織機の製作所での名まえを参考にしています。
数多くの織手のかたと交流があり、代々受け継いているので、思い違いや思い込みはなさそうだというのが理由。でも、「へドル」は「ヘルド」・・・なのです。

「綜絖枠」のある場合は、「綜絖」は「へドル」のことをいうのですが、製織所での部品名は「綜絖子」なので、「子」を省略しているのだろうと勝手に解釈しています。
したがって、「シャフト」が「綜絖」。でも、欧米の機なら「シャフト」をそのまま使った方がわかりやすいですよね。「ハーネス」との呼び方?違いは、どこかに書いてあったのですが・・・。

「組織図」ということばも「完全組織図」とか「意匠図」とか・・・これもわかりにくくて奮闘中。
先生や学校によって違うので、日本在住でも、調べれば調べるほど、戸惑うことが本当に多いのです。ブログを書かなかったら、気にしなかったと思うのですが。

Kuukkeli (くうっけり) さんのコメント...

こんにちは。コメントをありがとうございます。

近くに紙紐がたまたまあったのでとりあえずそれを使いましたが、要は何かしらちょっとつかえになるものがあればいいんだと思います。綜絖棒の端のほうに、ネジ付フックのようなものを取り付けてみたらどうだろう、とも考えているところです。

綜絖を作る糸のことも「綜絖糸」というみたいだったし、「綜絖糸」ではインターネット上の検索でもあまり当たらなかったし…一般には「綜絖子」だったからなんですね。
綜絖、綜絖子…使い方が分かってすっきりしました。ありがとうございます。

フィンランドのような小さな国でも、用語の違いがあるということを考えると、フィンランドとは比べ物にならないぐらいに人口が多く、文化も多様な日本では、用語等に違いがあるのは自然なことなのかもしれませんね。

英語の世界になると更に広いので、追求しだすときりがなさそう…

初めて織りを教えてもらったのが、マイナー言語(話者数は500~600万人ぐらい?)のフィンランド語でだったというのは、混乱する要素が少ない分、ラッキーだったのかなと思えてきます。

@tapionokuni