日本語ではダマスク?ドレル?…日本の用語はよく知らないので、各自解釈してくださいませ。
これは以前に織った布(関連記事:コーヒータイム用ナプキン)のアップ写真。
写真① |
5枚の経朱子と緯朱子を組み合わせた組織です。市松状の模様の境界線がはっきりしています。
これはリネンのハンドタオル(関連記事:3色のタオル)。
写真② |
模様は少し違いますが、基本の組織は上のものと一緒で、タイアップは全く同じ。これも模様の境界がはっきりして見えるのではないかと思います。
こちらはリネンのバスタオル(関連記事:クジラのタオル)。
写真③ |
5枚ではなく、4枚朱子(トルコ朱子/破れ斜文)です。境界線ははっきりしています。
次に、動力機で織られたのであろうリネン布のアップ写真です。この布は、義母が数十年前にロシア(当時はソ連ですな)旅行した時に買ってきたものだそう。
写真④ |
これも5枚朱子かな?
この布の模様の横方向の境界ははっきりときれいに出ていますが、縦方向はいまいち。境界の経糸が、なんとなく湾曲してもいます。
これは、ずうっと前にダマスク機で織ったもの(関連記事:ダマスク織のテーブルランナー)。
写真⑤ |
5枚朱子です。縦方向緯方向ともに境界がいまいちきれいじゃない。一部の糸は元の位置にとどまらず、ちょっと動いて湾曲しちゃったりしてますし。
境界がはっきりしているかどうかというのは、偶然の話ではありません。どういうことかというと…
これは5枚朱子を市松状に組み合わせた例。分かりやすいように模様の境界になる部分に線を書き加えてあります。
オレンジの線にそって並んでいるマス目の色が、線を挟んで逆転しているのがわかるでしょうか?線の左側が白の時は右側が黒、左側が黒なら右側が白…例外なくそうなっているはずです。
横方向、ピンクの線にそって並んだマス目も同様です。線のすぐ上とすぐ下のマス目の色が反対になっています。
言い換えれば、経糸と緯糸が、模様の境界のすべての点で入れ替わっているということ。こうすることで、模様の境目がはっきりします。写真①~③の布は、その点を意識して織っています。
写真④や⑤の写真では、必ずしもそうはなっていません。写真の矢印をつけたあたりを観察してみてください。
ところで、写真⑤の布の模様の境界がきれいじゃないのは、それが、ダマスク機を使って織ったものだからです。
模様を織り出すための綜絖と、組織を織り出すための綜絖、という2組の綜絖を使うシステムの機だと、5枚の朱子を組み合わせた模様の境界をきれいに出すことができません。
もっともくうっけりが知らないだけで、きれいに出す方法もあるのかもしれませんが…
さて、模様の境界で経糸と緯糸を入れ替えるというのは、5枚の朱子だけでなく、綜絖数が減っても増えても同じこと。そして経と緯の綾織を組み合わせるときも同じです。
5枚の綾織は、例えばこうすると模様の境界がはっきりするはず。模様の境目のところで経糸と緯糸が入れ替わっています。
もちろん3枚でも4枚でも、さらにほかの組織を組み合わせる場合でも…考え方は同じです。
写真⑤の布のように、機の機能上、模様の境界をくっきりはっきりさせるのが無理なこともある。写真④の布のように、工場で生産されて一般に販売される布の場合でもそんなことは意識されていなかったりする。
そもそも、模様の境界をはっきりくっきりさせなければいけないなんて決まりはないとも思うのですよ。わざとはっきりくっきりさせないことだってありうるわけだし。
そう考えていてはいても、はっきりくっきりの境界になっていないと、実はなんだか気になってしまうんです。最近もそんなことがあったので、この記事を書きました。
いずれにしても、手織りをする人でなければなかなか気づかないであろう小さなことなんですけどね。
上手に説明できていなくて、わかりにくいかも。ご意見、ご質問などありましたら、コメントでも連絡フォームからでも、ご遠慮なくご連絡ください。
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