手織り・染色・手紡ぎ等々、手仕事の記録です。フィンランドでのものづくりについても紹介しています。フィンランド発信。

【本】Kangaspuut〜フィンランドの機〜

こんな本を読みました。


書籍名は 『Kangaspuut』。機(はた)の意味です。

「kangaspuut」って、日本語の「機」と比べても、英語の 「loom」 と比べても、やたら長い単語。二つの単語がくっついてできている言葉です。kangas っていうのは「布」のこと、 puut というのは、「木」puu の複数形。フィンランドの機は基本的に木製ですからね。( 《KANGASPUUT》フィンランドの織機 - 手仕事@タピオの国

こんな長い名前ですが、「機」のことを、「布がなる木」って考えるとちょっと楽しいかも。

本自体は、小さくて薄くて、書籍というよりも冊子って感じです。出版が1975年。もう40年近く前ですから、決して新しい本ではありません。

機そのものをはじめとして、枷上げの道具だとか杼なども含めた、手織りに関わる道具、そして、織りに関わる手法を、枷づくりをするところから解説しています。

とはいっても、織りの教本ではなく、民俗学的な本。フィンランドの家々に受け継がれてきた手織りにかかわる文化をまとめた本です。

19世紀から20世紀はじめにかけての資料をもとに書かれています。そのころはまだ、学校などではなく、親から子へ受け継がれる織りの文化があり、織りの過程の手法も道具も名称もさまざま。そういう時代の話は、なかなか興味深いものがあります。


本書の内容とは別な話になりますが、フィンランドでは、19世紀には手織りの学校があちこちにできはじめ、20世紀に入ると、手織りをはじめとした手工芸を教える学校などが充実してがきます。そして同時に、織りの道具を専門に製造・販売する会社の製品も多く出回るようになります。そんな中で必然的に、織りの知識、技術、用語、道具などは、フィンランド国内で画一・統一化してきたんだろうと思われます。

学校が普及する前と現在との違いをよく表しているのが、おそらく機。

フィンランドではずっと、ろくろとか滑車とかホースを使った、いわゆるカウンターバランスの機が使われてきました。博物館などにあるのは、もっぱらそんな機ですし、先に挙げた本で取り上げられているのもそのような機です。

一方現在では、水平天秤式の、いわゆるカウンターマーチが、フィンランドの機として知られています。フィンランドにおいても、専門学校でもハンドクラフトセンターでも市民学校でも、機といえば水平天秤式です。

でも、このメカニズムの機はフィンランドに昔からあったのではなく、織りの先生を養成する学校が、このタイプの機を(ドイツから?)取り入れたのが最初らしいです。手織りを発展させようという思いがあったのでしょうね。そして当時のその最新?!技法は、卒業生とともに、全国に広がっていったのでしょう。

昔ながらの技法が、学校で教えられたより合理的な方法にかわり、使用する道具や言葉も徐々に統一化され、手織りの知識や技術はレベルアップされてきた…いいことなんだと思います。でも一方で、昔ながらの言葉や手法が忘れ去られていくのは、さびしい気もします。

『Kangaspuut』という本が出版された1975年というと、まだ19世紀生まれの方々からも直接話を聞くことが可能であった時代です。そしてその時代に、こんな本を書いてくれた方がいたことに感謝です。今となってはもう、そんな昔の話をきくことは不可能ですものね。

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@tapionokuni